本研究の目的は,一般急性期病院に勤務する新人看護師の多重課題実践能力育成のための教育プログラム開発にあった.面接調査におけるプレテスト分析後の調査の実施が困難になり,教育プログラム開発の基礎資料として,学生を対象に実施した多重課題に他王に関する教育実施後の学習内容の分析を実施している. 実施した教育プログラムにおいては,臨床で遭遇することの多い多重課題の提示を行い,PBLによる学習を展開している.学習成果であるレポートおよび多重課題への対応に関するロールプレイングの資料に基づいた分析の途中であるが,事例における対象の状況に関するアセスメント内容やニーズの切迫性の理解,安全に対するリスクの判断の違いにより,対応時の優先順位に差異が生じることが明らかになっている.さらに,実際の患者対応においては,中断する課題の管理方法が重要になることが明らかになっているが,患者が安心して納得得して待つことができるようにケアの中断や対応の遅れに関する説明内容を検討し,この過程を通して患者の協力を得ることの重要性に気づくことができていた.
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