研究課題/領域番号 |
17K12194
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
菅田 勝也 藍野大学, 医療保健学部, 学長 (20143422)
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研究分担者 |
大西 麻未 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (10451767)
八幡 久美子 藍野大学短期大学部, その他部局等, 講師(移行) (90766867)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護師 / 看護の質 / 専門職 / プロフェッショナリズム / 職務モチベーション |
研究実績の概要 |
看護師のプロフェッショナリズムについて、昨年度作成した測定尺度の質問項目案の妥当性を検討するため、有識者6名の意見を個別に聴き、臨床看護師を交えた看護研究者グループで議論して、98項目からなる案に整理した。自己決定モデルに基づいたMultidimensional Work Motivation Scale(MWMS; Gagne, et al., 2014)の和訳については、英語教育が専門の大学教員の意見に基づいて修正したのちに、翻訳専門家に逆翻訳を依頼し、ネイティブスピーカーによる同等性のチェックを受けた。これら2種類の尺度案に、対象者の属性を問う項目を追加して調査票を作成し、3病院の看護部長に対して合計300部の配付を依頼した。調査票の回収数は287部で、研究参加に「同意する」にチェックがあったのは256部であった。回答者の職位は、スタッフ86%、副師長・主任10%、師長4%で、看護に関する最終学歴は、専門学校65%、大学24%、短期大学8%、高校(5年一貫または専攻科)2%であった。両尺度案とも、全ての質問項目の回答に床効果・天井効果は認められなかった。プロフェッショナリズム測定尺度案において、項目間相関係数が0.8以上のものはなかった。探索的因子分析を行った結果、プロフェッションフッドに関連する「最高で最上の仕事へのコミットメント」ほか3因子と、知識と技術に基づく看護実践に関連する「キャリア・コミットメント」ほか3因子の合計8因子の構造が仮定でき、項目数は50~60程度に縮減できると推察された。また、MWMS日本語版案について、非動機づけ、外発的動機づけ(外的調整[社会的]、外的調整[物的]、取り入れ的調整、同一化的調整)、内発的動機づけの6つを潜在変数とするいくつかの構造方程式モデリングを行ったところ、GFIが0.85程度、RMSEAが0.08程度であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査結果に基づいて尺度案を修正し、調査対象を増やして妥当性と信頼性を検証する計画であったが、それにいたらなかった。しかし、妥当性と信頼性に関しては、今年度収集したデータをより詳細に分析して下位尺度の修正を行えば、問題なく使用できるようになると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
看護師のプロフェッショナリズム尺度案を洗練し、職務モチベーションについてはMWMS日本語版案を使用し、また、看護の質を測定する既存の質問紙調査票や各病院で収集されている各種指標を使用して規模の大きな調査を実施し、看護師のプロフェッショナリズムおよび職務モチベーションと看護の質との関係を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査の実施管理を補助する人員を雇用する人件費と調査対象者への謝礼を計上していたが、計画していた調査の一部を次年度にまとめて行うことになったのでそれに充当する。
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