研究課題/領域番号 |
17K12203
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
岡田 なぎさ 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (20341521)
|
研究分担者 |
小林 敏生 広島都市学園大学, 健康科学部, 非常勤講師 (20251069)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 医療・福祉 / 女性看護師 / ワーク・エンゲイジメント / SOC / コーピング特性 / スピルオーバー / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
近年,労働者のメンタルヘルスにおけるポジティブな視点が注目されているが,女性看護師の活き活きとした労働生活への関連要因やアウトカムにおける「家庭領域」の影響は明らかでない.本研究では,就労する女性看護師が活き活きと労働生活を営める要因を明らかにするため,女性看護師を対象に横断的質問紙調査を実施し,「仕事領域」と「家庭領域」の変数を含めて検討することを目的とした. 2019年度は,予備研究B(1225人の就労する女性看護師を対象とした横断的質問紙調査)のデータ分析を行い,中間アウトカムとしてのワーク・エンゲイジメントの関連要因を検討し論文にて発表した.分析の結果,就労する女性看護師のワーク・エンゲイジメントの向上には,コーピング方略の「視点の転換」「積極的問題解決」を用いることや「回避と抑制」を避けること,仕事の資源や家庭から仕事へのポジティブな影響が多いこと,多重役割があることが関連していた.加えて,仕事から家庭へのネガティブな影響と家庭から仕事へのポジティブな影響は多重役割あり群がなし群より高かったことから,多重役割を担う女性看護師においては,仕事から家庭へのネガティブな影響がある一方,家庭から仕事へのポジティブな影響が大きいことでワーク・エンゲイジメントが向上する可能性が示唆された. また,最終アウトカムの精神的健康の関連要因を検討した結果,就労する女性看護師の精神的健康は,多重役割あり群がなし群より高く,精神的健康の向上には,仕事の資源が多いことやワーク・エンゲイジメントが高いこと,コーピング方略の「気分転換」,「視点の転換」を用い、「回避と抑制」を避けること,仕事と家庭間の両方向のネガティブな影響が少ないことに加え,家庭から仕事へのポジティブな影響が多いことが関連することが新たに示された.現在,調査項目に個人要因としてのレジリエンスも加えた本調査を実施し分析中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予備研究のデータの分析結果を行い,本調査で調査する変数や測定に用いる尺度の選択を慎重に行ったことに加え,全国を対象とした本調査の実施に時間を要したため.
|
今後の研究の推進方策 |
予備研究Bのデータ分析を引き続き行い,動機付けアウトカムとして「職業経験の質」に関する分析や従来の「仕事の資源-要求度モデル」に労働生活の構成要素である「家庭領域」を新たに追加したモデルの分析を行い,結果について論文作成を行う.また,2019年度に実施した本調査のデータの分析および結果の公表を行う予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度まで研究課題に取り組むための期間延長を行ったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、結果の公表のための学会発表および論文作成に使用する計画である。
|