研究課題/領域番号 |
17K12204
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研究機関 | 聖マリア学院大学 |
研究代表者 |
鶴田 明美 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (10341976)
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研究分担者 |
前田 ひとみ 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90183607)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中堅前期看護師 / 自己イメージ / 看護実践力 / 支援プログラム |
研究実績の概要 |
臨床経験3年以上20歳代の中堅前期看護師(以下,中堅前期看護師)は,患者・家族との関係困難を抱え,それには否定的な自己イメージが影響している.そこで,患者・家族との関係場面について仲間との対話を通して看護実践の見つめ直しを行うプログラムを作成し実施した.本研究の目的は,本プログラムが看護実践に及ぼす影響について検証することであった.A施設の中堅前期看護師11名を対象に,Gibbs(1988)のリフレクティブジャーナルを用い,1グループ5,6名,毎月1回60分1事例,全10回のプログラムを実施した.プログラム終了後,看護実践の変化について構造化面接を行った.結果について,参加者は,平均年齢27.2±2.4歳,平均臨床経験年数5.0±1.6年であった.参加前の看護実践について抽出されたインビボコードは「急性期は患者と接する期間が短いため機会を逃さず思いを聴き援助する」「周囲から評価され任された事は自分で考え行動できる」「不測の事態には上手く対応できない」等であった.参加後は「他職種と連携し患者の希望を叶えている」「できない事や知らない事を同僚に相談し協力を求める」「後輩看護師に自分から声をかけ共に考える」「仲間の実践に触れ力不足を感じ自信が揺らいだ」等であった.参加前は,患者の思いの把握に尽力し,周囲の評価を得て看護を実践している一方で,不測の事態や未体験・未習得の事象では適切に対処できないことが示された.参加後は,自分の力量不足や疑問に対処しながら他職種と連携し看護を発展的に展開し,後輩看護師に自ら歩み寄り課題解決を図る状況が示されていたが,仲間の実践が自信低下の要因になっていることも示された.以上より,仲間と看護実践の見つめ直しを行うプログラムは,中堅前期看護師の看護実践を向上させる効果が期待できる一方で,看護実践に対する自己評価を低下させる可能性があることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究について、質的データの分析結果については学会発表を終えた。しかし、量的データの分析および質的データとの相関等についての分析、並びに、論文投稿に向けた準備に遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、質的データとの相関を含めた分析を進めることと、投稿に向けた準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が生じた理由として、学会参加旅費として当初2名分を計上していたが、実際は1名分の支出で済んだためである。さらに、論文投稿に係る翻訳料と投稿料が未支出となったためである。今年度は、成果の発表に注力し、論文投稿費用等に充てる予定である。
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