臨床経験3年以上20歳代の中堅前期看護師(中堅前期看護師)は、患者・家族との関係困難を抱え、それが否定的な自己イメージに影響している。そこで、患者・家族との関係場面について仲間との対話を通して看護実践の見つめ直しを行うプログラムを作成し実施した。 対象者は中堅前期看護師11名であり、1グループ5,6名、毎月1回60分1事例、全10回実施した。10回終了後、看護実践の変化について半構造化面接と、プログラム前後に自己イメージと看護実践力に関する質問紙調査を実施した。 結果は、参加者の平均年齢27.2±2.4歳、平均臨床経験年数5.0±1.6年であった。面接データの分析から、看護実践について抽出されたインビボコードは、参加前は「周囲から評価され任されたことは自分でできる」「不測の事態には上手く対応できない」等であった。参加後は「他職種と連携し患者の願いを叶えている」「仲間の実践に触れ力不足を感じ自信が揺らいだ」等であった。質問紙調査の分析では、参加前後の全体得点比較において、自己イメージ、看護実践力共に有意差は無かった。個別の得点推移では、参加後に得点が上昇した割合は、自己イメージ72.7%、看護実践力45.5%、両方36.4%であった。参加後に得点が低下した割合は、自己イメージ28.3%、看護実践力54.5%、両方18.0%であった。 以上から、本プログラム参加により、中堅前期看護師の自己イメージの肯定的変化と看護実践力の向上が期待できる一方で、仲間との対話によって自己内省が促進され、自己の否定的側面に気づいたり、看護実践に対する多角的視点の獲得により客観的評価力が向上し、自己評価が適正、厳密化することで、自己イメージと看護実践力の低下にも繋がる可能性が示唆された。
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