研究課題/領域番号 |
17K12205
|
研究機関 | 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
松元 俊 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 産業保健研究グループ, 任期付研究員 (20342686)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 夜勤時間規制 / 看護労働 / 安全 / 健康 / 生活の質 / 休み方 / 交代勤務 |
研究実績の概要 |
負担軽減のため、看護師1人当たりの月夜勤時間は72時間以内にするというルールがあるが、この夜勤時間制限の科学的根拠は明らかになっていない。本研究は現在看護現場で行われている主要な交代勤務制において夜勤時間が72時間以下と72時間超の場合の安全、健康、生活の質の差を調べるために2週間の生活時間調査を行った。 夜勤種別、設置主体、病院機能、病院規模、年齢階層を考慮した上で、全国24病院の看護師651人を対象とした調査を行った。施設調査は24件(100%)、生活時間調査は540件(82.3%)が回収された。夜勤回数を見ると、急性期病棟では夜勤が多い月で4.9回、少ない月で3.2回であり、回復期病棟では夜勤が多い月で5.1回、少ない月で3.3回であった。夜勤種別は、16時間夜勤制をとっていたのが急性期病棟で41.0%、回復期病棟で64.0%と、どちらも最も多く採用されていた。ひと月の夜勤時間が72時間を超えた割合は、16時間夜勤制の回復期病棟で57.1%であり、いずれの夜勤時間制を行う急性期病棟よりも高かった。 8時間夜勤制と16時間夜勤制(急性期病棟)での生活時間への影響が他の夜勤制よりも大きく、睡眠時間、自宅内娯楽時間、勤務中の休憩時間が短かった。ひと月あたり72時間超の夜勤時間の影響を見ると、72時間以下に比して眠気の訴えは休日のみ有意に多く、疲労度は起床時と就床時の精神的な疲労および起床時の身体的な疲労が有意に高かった。また、休日における自宅外での娯楽時間は夜勤時間が72時間超では72時間以下よりも有意に短かった。本研究より、ひと月の夜勤時間が72時間を超えると、看護師の安全、健康、生活のいずれにおいても悪影響を及ぼすことが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り病棟看護師を対象とした生活時間調査は完了しており、現在までに結果のデータ入力と主要な解析までを終えている。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大により学会発表等の機会が失われた。補助事業期間延長が再度許可されたことにより、解析の深化と成果発表を行いたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、新型コロナウイルス感染症拡大により当該年度に参加予定であった学会が中止されて旅費等が発生しなかったためである。補助事業期間の再延長により、残額分は学会旅費および追加解析に関連する情報収集のための書籍購入に主に使用する計画である。
|