研究課題/領域番号 |
17K12209
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大江 真琴 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (60389939)
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研究分担者 |
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
竹原 君江 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (70709865)
野口 博史 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (50431797)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 糖尿病足潰瘍 / サーモグラフィ |
研究実績の概要 |
研究の目的はサーモグラフィを用いた糖尿病足潰瘍予防支援システムを開発することである。今回開発する支援システムの特徴は①サーモグラフィを用いて糖尿病足潰瘍のリスク状態を視覚化でき、糖尿病患者のセルフケアの動機付けとなる、②通信システムを用いることで、遠隔地からでも専門家による助言を受けることができる、という2点である。 今年度は足部サーモグラフィ画像を分析し、糖尿病足潰瘍のリスク状態を示すパターンを抽出することを予定していた。第5中足骨部胼胝に着目して449名分のデータを分析した。第5中足骨部胼胝保有者は20名35肢であり、潰瘍を合併していた胼胝(潰瘍あり:1名2肢)のサーモグラフィ画像では、いずれも胼胝部の皮膚温の上昇と土ふまず方向への範囲の拡大を認めた。潰瘍の合併のなかった胼胝(潰瘍なし:19名33肢)は皮膚温の上昇なしが25肢(75.8%)、局所的な皮膚温の上昇が8肢(24.2%)であった。足底最高温度が第5中足骨周囲にあった肢(潰瘍あり2肢、潰瘍なし8肢)において、皮膚温の上昇は潰瘍ありで1.3±0.1℃、潰瘍なしで0.2±0.3℃であった。皮膚温上昇範囲は潰瘍ありの2肢で各々22.5、19.9%、潰瘍なしでは23.5±12.5%であった。以上についてThe 7th Hong Kong International Nursing Forumにて発表した。 さらに次年度に予定していたシステムの開発についても先駆けて進め、モバイルサーモグラフィを用いて自身の足底を撮影するデバイスを考案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定指定は足部サーモグラフィ画像を分析し、糖尿病足潰瘍のリスク状態を示すパターンを抽出することに関しては、449名分の分析にとどまったものの、皮膚温度の上昇、皮膚温度が上昇している範囲の土踏まず方向への拡大という潰瘍保有者の一つの特徴を見出すことができた。今後も分析を継続する必要がある。一方、次年度に予定していた患者が自身で足部のサーモグラフィを撮影し、医療者に通信できるシステムの確立に関しては、先駆けてモバイルサーモグラフィを用いたデバイスを考案した。 以上のことより、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた知見を踏まえ、糖尿病足潰瘍のリスク状態を示すパターンの抽出に関する分析を継続する。 次年度計画していた「患者が自身で足部のサーモグラフィを撮影し、医療者に通信できるシステムの確立」を進める。昨年度考案したモバイルサーモグラフィを用いた方法を使用し、実行可能性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は糖尿病足潰瘍のリスク状態を示すサーモグラフィのパターンを抽出するために研究室が所有していたサーモグラフィを用いて画像を取得した。したがって、当初予定していたサーモグラフィの購入が不要となったために当該研究費が発生した。次年度は患者が自身で足部のサーモグラフィを撮影し、医療者に通信できるシステムを確立するため、モバイルサーモグラフィや通信に必要なデバイスの購入が必要であり、その費用負担が生じる予定である。
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