研究課題/領域番号 |
17K12210
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大日向 陽子 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40570263)
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研究分担者 |
中村 美知子 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (80227941)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患患者主体 / 長期継続 / 食生活再構築 |
研究実績の概要 |
本研究目的は,炎症性腸疾患患者が主体的行動(食物の選択・調理方法・食事摂取状況等)と,客観的状態(自覚症状・血液生化学検査値等)のバランスを維持・改善し,長期寛解維持ための,外来通院患者の主体的行動,客観的状態と看護職者ならびに医療者の関わりを縦断的に追跡調査し,炎症性腸疾患患者が長期継続しやすい主体的な食生活構築のための看護の展開について示唆することである。 平成30年度は,平成26年~29年度 科学研究費助成事業課題(若手B)「症性腸疾患患者の健康状態改善のための看護師の食事指導の強化」の調査結果と,長期間に及ぶ調査であることから,対象者の負担にならない内容とするために特に食事調査内容と調査時期について,ワークショップに参加している患者数名から情報収集を実施した。調査対象者が外来通院患者であり,調査開始時に寛解期であることを考慮し,文献検討や患者からの情報収集結果から調査方法の再検討を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は,プレテストの実施後調査を開始する予定であった。しかし,研究計画書作成時点での調査方法では,特に食事調査が長期に及ぶことによる患者の負担が大きいことから,研究方法の再検討や倫理員会への申請準備委時間を要し,調査実施まで至っていない。しがしながら,ワークショップにて情報収集をしたことで,患者の負担を軽減しながら調査を継続するための有用な情報を得ることはできた。以上のことから,当初の計画より遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
調査期間を当初の計画では1年としていたが,希少疾患であり対象者の確保に限りがあること,平成30年度実施した情報収集結果から対象者への心理的負担も考慮し,6か月に変更することとした。また,調査協力者の負担にならないよう主体的行動・客観的行動の自覚症状は,対象者全員が受診日翌日と,次回受診日前日(1日分)の計2日間の調査を実施し,自覚症状が増悪した対象者は,増悪日から症状軽減(もしくは消失)までの期間にも調査を実施することにした。寛解期患者の現状を捉えるために,自覚症状の出現がない患者にとっては負担の軽減につながると同時に,症状出現患者の主体的行動の実態把握にも有用であると考える。所属する大学倫理審査委員会の承諾が得られ次第,調査を開始する。 調査内容は基本的属性,主体的行動・客観的状態,看護者・医療者による関わりであり, 主体的行動は1日の食事回数・食事時間,食事内容・食感・調理方法とする。食事調査は自己記録を用い,正確な食事摂取量把握のために承諾の得られた対象者には食事撮影(デジタルカメラもしくは携帯・スマートフォンによる撮影)を依頼する。食事摂取量(経静脈的成分,ED摂取量も含む)は栄養価ソフトエクセル栄養君ver8.0(建帛社)を用い,食品群別摂取量・摂取割合,摂取エネルギー,たんぱく質,脂質(特に脂肪酸:MUFA/SUFA/PUFA/n-6・n-3PUFA)等の栄養素摂取量を算出する。客観的状態はCDAI/IOIBDを参考にした自覚症状,体温・体重測定とし,受診時に採血を実施する。全脂肪中脂肪酸分画は,SRL(株)に依頼する。 上記結果を分析した後,「医療者の関わり(患者評価)」に対する調査・評価を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献検討や情報収集による調査内容・方法の精選・検討に時間を要し,調査に着手できなかったため繰越金が生じている。 次年度の研究費使用計画は以下の通りである。 調査実施に関わる消耗品(調査用紙・プリンターカートリッジ,USBメモリー等),研究関連文献・書籍の購入に使用し,調査協力者への謝品にも使用する計画である。また,血液生化学検査を(株)SRLに依頼する予定である。また,関連学会(日本臨床栄養学会・日本看護科学学会,米国経腸栄養学会等)での情報収集や発表旅費,投稿論文諸費用に充てる予定である。
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