研究課題/領域番号 |
17K12211
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齊藤 奈緒 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20403298)
|
研究分担者 |
宮脇 郁子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (80209957)
多留 ちえみ 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (90514050)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 心臓デバイス植込み患者 / 身体活動 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
「心臓デバイス(植込み型除細動器、心臓再同期療法)植込み患者の治療安定期における生活リズム評価に基づく長期的な生活適応への支援」の構築のための第1段階として、2施設における心臓デバイス(CRT,CRT-D,ICD)新規植込み患者約50名を対象に、治療安定期(植込み6か月~1年後頃)の生活リズムと生活適応の実態調査を行った(平成30年9月まで)。調査内容は、①生活リズム計による活動と休息・睡眠の質・加速度計(アクチグラフ)の7日間装着②質問紙による生活適応(自記式の心理社会的適応尺度:先行研究で作成した「デバイス植込み患者の療養生活適応アセスメント票」(4因子.25項目))③心機能・腎機能、基本属性や社会的要因などである。 実態調査終了後、分析対象者42名(年齢70.5歳)(中央値)について、調査項目①と③の記述統計、関連探索を行った。その結果、デバイス植込み後1年頃の活動強度別活動時間の割合は、座位活動(1.5 Mets以下)が56.4%、低強度活動(1.6-2.9 Mets)が36.9%、中等度活動(3.0 Mets以上)が4.3%であり、健康高齢者と比べると低強度以上の活動が少なかった。睡眠は、睡眠効率 84.1%で睡眠の質が悪かった。活動・睡眠と背景要因との関連は、植込み期間が短い患者は睡眠効率が悪く、睡眠効率が低い患者は座位行動時間が長かった。高齢、心・腎機能が低い、低栄養の患者は、座位行動時間が長かった。女性や独居患者の方が低強度・中等度活動が長く、有職者は座位活動時間が短かったが睡眠効率が悪かった。これらの結果は、日本循環器学会において示説発表した。 そして、これらの活動と睡眠の実態と生活適応、背景要因との関連の分析をすすめ、新規植込み患者の早期、治療安定期の生活リズムと生活適応の特徴を明らかにし、支援プログラムを作成している段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析対象者数が予定数に満たなかったが、臨床での対象者数確保の見込みから期間延長はせず、調査を終了した。しかし、分析および支援プログラムの作成において、研究代表者および分担者の、教育職務上のエフォート負荷が大きくなった現状から、本研究へのエフォートが低下し、支援プログラム案の完成まで進捗に至らなかった。 加えて、研究代表者自身の異動(所属変更)が決定し、異動状況に応じたフィールドの選択・調整、研究者組織の調整を行う必要性が新たに生じたことから、プログラム案の完成、妥当性の検討、倫理委員会への申請に着手できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者の異動に伴い、支援効果の検証のためのフィールド確保、研究者体制の確保・調整を現時点で行っており、見通しがたったところである。プログラム試案の完成、妥当性の検討、倫理委員会への申請について、平成31(令和元)年度前半までに完了する予定でスケジュールを組んだ。 なお、当初計画通りに進まない時の対応として計画していた通り、研究期間に余裕をもっていたため、介入研究調査自体は全研究期間内に予定通り進められると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
7.進捗状況理由の通り、プログラム案作成に関する物品費、プログラム評価研究の実施(表面妥当性の検討)のための旅費、会議費等のための予算を執行していない。次年度にこれらを行うため、そのまま執行する予定である。なお、研究代表者の異動に伴い、打合せや調査実施に伴う旅費修正を含め、経済的な運営ができるよう情報交換環境を整えながら予算執行する予定である。
|