研究課題/領域番号 |
17K12214
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
桑村 由美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90284322)
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研究分担者 |
澄川 真珠子 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (20432312)
坂本 英次郎 徳島大学, 病院, 助教 (70771624) [辞退]
吉田 守美子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (40510904)
倉橋 清衛 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (30567342)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 糖尿病看護 / 口腔保健行動 / 看護支援 / プログラム |
研究実績の概要 |
糖尿病患者の口腔保健行動を看護師として支援するために簡便なアセスメント項目を医・歯・看護学の協働でこれまでに作成してきた。本研究の目的は、この項目を用いて簡便な看護支援プログラムを開発しその効果を検証することである。 本年度の目標は、前年度に引き続き看護支援プログラムを実践し、その効果を検証し成果を報告することであった。 看護支援プログラムでは、初回に前述のアセスメント項目についての調査に引続き、それらについてリーフレットと顎モデルを用いて簡便な教育介入を行い、これらを3か月後、6か月後、1年後にも実施することを計画した。本年度はこの中の1年後の調査・介入を実施した。その結果、糖尿病外来通院中の59名(男26名;平均年齢58歳)から継続して4回の協力が得られた。初回時と比べ1年後の調査では、口腔保健行動変容ステージ得点が有意に上昇した。初回調査時に、歯科に受診していなかった17名のうち、1年後までには8名が受診していた。また、アセスメント項目の総合得点も有意に上昇した。このアセスメント項目は、口腔の状態、口腔衛生行動や歯科受診行動、糖尿病療養中の口腔保健行動についての認識・知識、医科歯科での情報の管理の4つの領域から成り立つが、歯磨きを丁寧に行うことや糖尿病と歯周病の関係の知識などは3か月後の調査時より有意に上昇した。鏡を見ながらの緻密な歯磨きや歯科受診時の糖尿病連携手帳の提示は6か月後に上昇した。歯科受診時のお薬手帳の提示は1年後に上昇した。 以上のことより、看護師による本プログラムの実践は糖尿病患者の口腔保健行動への認識や実践に寄与する可能性が示唆された。また、糖尿病療養を行いながら歯科受診に至る行動変容には、時間を要することが推測された。そのため、変化を性急に求めるのではなく、患者の行動変容の軌跡を見据えて、長期的・継続的な視点で支援を行う必要性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
データ収集予定日を研究対象者である患者さんの再来予定日としていたが、当該日の都合や体調不良等により、延期になることがあり、研究データの収集が遅れた。そのため、論文公表を年度内に行うことが出来なかった。よって、「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、本研究で得られた成果を学会発表し、論文として成果を公表する予定である。研究で得られた結果を臨床家や研究者と共有し、臨床で使用可能なものとなるようにブラッシュアップを図る必要がある。そして、本プログラムの普及に向けて、プログラムを施行するための看護師の習得すべき知識や技術、およびその教育方法についても検討を重ねる必要がある。 また、糖尿病患者は歯周病が進行しやすいといわれているが、歯周病が進行した状態では、抜歯術などの歯科治療を安全に受け、その後の対処として義歯なども考慮する必要がある。これらについても、歯科学的な客観的指標も含めながら、患者の行動変容ステージを見極めた、看護師の立場からの医科歯科連携への支援の在り方を探求する必要があり、今後も継続して取り組んでいきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集の遅れにより、論文作成が遅れたため、英文校正と論文投稿にかかる経費を残しておく必要があり、次年度使用額が生じた。現在、日本語論文を草稿し、推敲しつつ、英訳を行っている。そのため、英語論文が出来上がり次第に、業者に英文校正を依頼し、投稿へと進める予定であり、費用もそのために用いる予定である。
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