研究課題/領域番号 |
17K12215
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
柊中 智恵子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (60274726)
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研究分担者 |
中込 さと子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (10254484)
国府 浩子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70279355)
川崎 裕美 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (90280180)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝性難病 / TTR-FAP / QOL / 症状マネジメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、TTR-FAP患者の症状マネジメントについて実態調査を行い、患者向けのガイドブックを作成することである。しかし、COVID-19感染症のため直接研究対象者である患者と面談する機会がない状況にあった。TTR-FAP患者は、全身臓器にアミロイドが沈着するため、末梢神経障害、自律神経障害、全身症状といったように様々な症状がおこる。特に、本研究においては、患者の症状である視力低下、手指の筋力低下のため、調査はオンライン等で代替することは難しく、直接対面でなければ不可能な状況にあった。そのため、現在まで研究を延期してすすめてきたが、COVID-19感染症が徐々に落ち着いたことで、研究対象者で ある遺伝性神経難病TTR-FAP患者とも直接面談することが可能となってきた。そこで、最終年度は、パイロットスタディとして患者に臨床的な場面で面談し、使用する評価スケールを検討するために状況について聞き取りを行った。 その結果、精神状態を評価するためにはSEIQoL、Mishelの不確かさ尺度(療養の場を問わず使用できる尺度、家族用尺度)、HADSが効果的だと判断した。身体機能は、PNDスコア、EQ-5D-5Lを使用できると判断した。 TTR-FAPは、治療法の進歩により10年で死亡する疾患から複雑な病態を呈する慢性疾患へと変容した疾患である。国際的にもホリスティックケアが提唱され、早期診断と治療開始、多職種による連携ケアに加え、医療従事者と患者間のオープンな対話により共通の意思決定と一貫した病勢進行のモニタリングが必要であることが強調されるようになった。今回の研究では、症状マネジメントの実態調査までは行うことはできなかったが、症状マネジメントを考える上では、患者のQOLも重視しておく必要性を明らかにすることができた。
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