研究課題
慢性閉塞性肺疾患により訪問看護を受けている在宅療養者に対し、増悪予防のためのセルフマネジメント促進プログラムを3ヶ月間実施した。研究協力者は男性3名で、年齢は60歳代1名、80歳代2名であった。所属機関の研究倫理委員会の承認を得て実施した。セルフケア能力を測定するために開発されたSCAQにおいて、プログラム前後で得点を評価した。A氏は総得点が106点から136点に向上した。B氏は、総得点が89点から110点に向上した。C氏においては、総得点が116点から105点に低下した。介入時の協力者の反応、日誌の記載内容から分析した結果、A氏においては、「痰が続いているのは何故だろう」と考えるようになり、症状を見ていくことへの関心が高まった。B氏においては、酸素飽和度が70%台に下がる日があったが、日誌をつけて訪問看護師と振り返ることで、習慣化している日常生活行為と酸素飽和度の値が関連していることに気づいた。また活動量の調整など生活の見直しに繋がった。更にB氏には頭痛症状がみられたが、肩こりあるいは高二酸化炭素血症に起因するものかを訪問看護師と共に振り返ることで、肩こりに起因していると分かり、頭痛の緩和方法を考えることが出来た。症状を経時的にみることで、どの状態が自身にとって調子の良い状態かの指標となり、いつもより調子が悪いと感じたら早期に感冒薬を内服したり、体重減少があれば栄養補助食品を摂取するなど、対処行動がみられるようになった。C氏においては、何故鼻汁が出るのかということや、朝は浮腫が改善しているが、昼になると何故出てくるのか等の疑問を訪問看護師に伝えるようになった。日誌をつけて、体調の変化を訪問看護師と一緒に確認していくことで、身体への関心が高まり、測定した値と自覚症状を結び付けて解釈する力や、生活を調整できる力がつき、セルフマネジメント力が高まったと考えられた。
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