研究課題/領域番号 |
17K12234
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
小板橋 喜久代 京都橘大学, 看護学部, 教授 (80100600)
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研究分担者 |
柳 奈津子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 講師 (00292615)
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性疼痛保有者 / リラクセーッション法 / 痛みのセルフコントロール |
研究実績の概要 |
初年度の活動として、本研究の最終到達目標と研究遂行のための実施計画の決定 計画遂行に向けたフィールドの選定、共同研究者間における計画実施のための確認作業、予算の適正配分、役割分担の確認を行った。また実施計画の確定のために、1施設の外来においてプレテストを実施した。慢性疼痛患者へのリラクセーション法の指導の経過と、患者の反応について、3事例について検討した。それらの結果を踏まえて、実施計画を確定し、研究倫理審査のための申請書類の整理を行った。慢性疼痛保有者3事例への外来指導の結果、慢性疼痛による身体的・情緒的・行動的面への影響が出てくる可能性があることを理解し、セルフコントロールとしてのリラクセーション法の習得と活用に対する指導の受け入れ状況は良好であった。リラクセーション法として、呼吸法と筋弛緩法を指導したところ、その習得に困難は生じておらず、体験後の反応も良好であった。1度の体験でも、痛みの知覚が減り、情緒的な落ち着きを体験していた。最初の1か月間は、毎週外来を受信してより十分なリラクセーション法の習得と痛みへの反応のチェックが必要であること、3か月間の練習と経過の観察が必要であることを指導した。しかし、実際の個々人の生活状況から、それぞれの事例において、自分の都合のつくときに参加したいとの申し出があり、1か月間に毎週外来を受診したものは1事例のみであり、他の2事例は、1か月間に2回、および1回の受診であった。この間自宅での自己練習を実施しており、練習するごとに、痛みの知覚が減り、気持ちが落ち着くこと、1か月するころには、生活行動の制限が減ってきて、逆に行動範囲が広がってきて、関係性も改善してきたとの報告があった。このような実践例を見ると個人的なニーズに対応しながら個々人が習得しやすいようにフォローしていく必要があるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究フィールドの確定 ①関西(京都地域)では、慢性痛保有者の治療にあたっているクリニックの協力を得て、研究協力者の紹介を得るとともに、面談・指導のための個室を提供してもらう。②関東(群馬)では、大学病院の専門外来および慢性疼痛患者の診療を行っているクリニックとする。関西と関東において、フィールドの条件(絞絡因子)に異なる点が認められる可能性があるが、これまで受けてきた治療内容や、面談の場所による環境的要因の詳細にかかわらず、リラクセーション法の指導と助言に関わるテクニックを最重要課題と考えており、共同研究者のこれまでの実績から、その質を担保できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
練習用のパンフレットおよび練習教材の提供 研究協力者に、外来の受診にかかわらず、自分の都合の良い時に自己練習しやすいような資料を提供する必要がある。そこで、簡易的なパンフレットを作成することとした。また、練習用のテープとして、「呼吸法」「筋弛緩法」(プレム・プロム株式会社)を提供することとする。 体験メモ(ノート)自分で取り組んでみた体験。うまくできた体験とできなかった体験。について、メモを取りつつ練習と美民への活用について自己評価を促していく予定である。以上の整理をしながら、協力者をつのり、事例の検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
痛みの計測機器(1500000円)を購入して評価する予定であったが、痛みの刺激を与えることになり、協力者へのメリットがないと考えて、購入計画を見送ったことである。ほかの尺度を利用して、協力者にとっても、行動のみなおしになる尺度を活用したいと考えている。
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