研究課題/領域番号 |
17K12239
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
柴田 弘子 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (00196429)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 難病 / ケアラー / セルフアセスメント |
研究実績の概要 |
ライフヒストリーを中心とした先行研究から、難病ケアラーの特徴として、難病ケアラーは孤立しているかしがちであること、ケアラー自身の療養支援や生活に関する悩みや心配ごとは患者にも医療者にも相談できないことが明らかとなった。難病ケアラーが、働くことと療養を支援する生活の両立を図り、心身の健康バランスを保つためには外部の支援が不可欠であることがわかった。 本研究では、質問紙調査により難病ケアラー支援のための具体策を見出すための基礎資料として、難病ケアラーのより詳しい実態を把握することとした。調査前準備として、調査への参加を依頼できる難病ケアラー、あるいは難病関連団体を見出し、それらとの連携を図ることとその強化を図った。 この過程で、先行研究を裏付ける多くの事例を把握することができ、患者会という枠にとどまらない相談支援へのニーズを把握した。折しも、平成27年に「難病の患者に対する医療等に関する法律 (難病法)」が施行され、難病当事者、支援者、行政が円環型チームの元に参加・協力して、難病当事者並びに難病ケアラーを支援するための街中での難病カフェの実践モデル「なんくるかふぇ」(主催:難病支援研究会)を継続開催するに至った。 同時に、難病ケアラーとの関わりから、実態把握を目的とした質問紙調査であるが、調査に参加すること自体が難病ケアラーのエンパワメントにつながる要素を持つもつことが必要であるという着想を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究者自身の先行研究の知見を補足、強化する目的で先行研究文献から、難病ケアラーに関する実態を調査した。 一方、質問紙の開発においては単なる実態把握にとどまらず、難病ケアラーが調査に参加すること自体が、難病ケアラー支援となることが推測できた。このため、質問紙の開発にあたっては、難病ケアラーのセルフアセスメントに役立つ内容として開発することとした。 研究参加予定者の発掘、関係構築、支援モデルの創出、並びに実施と継続に時間を要したため、本研究の目的である質問紙開発は大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究参加の可能性ある難病ケアラーの発掘と関係構築、並びに支援組織との連携が実現したため、質問紙による実査の準備ができた。 今後は、難病ケアラーをエンパワメントする質問紙を開発することを目指す。質問紙の開発にあたっては、難病ケアラーの実態把握のみならず、難病ケアラー自身によるセルフアセスメント(自己評価)が可能な項目、内容とし、尺度化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、質問紙開発の大幅な遅れによって実査が行えなかったことによる。 質問紙の開発にあたっては、数量解析の専門家への相談を行い、難病ケアラーのための自己評価尺度として開発する。また、難病ケアラーに調査への参加を依頼し調査の実施を企画し、データを収集する。同時に、これまでの成果についての発表を行う。 このため、調査(インタビューと郵送調査)費用として10万円、データ集計用機器(PC等)として30万円、論文投稿経費として10万円、報告書作成費として10万円、文具、消耗品費として3万円を計画する。
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