研究実績の概要 |
本研究課題は、私たちが開発した2型糖尿病患者のための「セルフスティグマ低減」教材(平成27~28年度文部科学省科学研究費補助金「研究活動スタート支援」(15H06910)研究代表者:加藤明日香)を、今後の臨床応用へと発展させるため、同教材の効果を検証することを目的とした。 同教材は、セルフヘルプ型の心理教育プログラムである。セルフスティグマが患者の自己管理行動に影響を及ぼすメカニズム(Kato A et al, BMJ Open 2020a)をもとに、患者のナラティブ(Kato A et al, BMJ Open 2020b)を素材として、疾病心理教育の手法により開発された。10セッションから構成され、自宅で視聴可能、10週間で全視聴が完了する。 「セルフスティグマ低減」教材の効果および実行可能性を検証するため、糖尿病専門医により現在加療中の20~65歳までの2型糖尿病患者を対象に、22名をリクルートした。除外基準は、精神疾患や摂食障害などの併存疾患を有する患者とした。リクルートした22名のうち17名が研究参加に同意した(参加率:77.3%)。17名のうち11名が全教材を視聴した(完遂率:64.7%)。「セルフスティグマ低減」教材の視聴前後に質問紙調査を実施し、セルフスティグマ尺度(Kato A et al, Health and Quality of Life Outcomes 2014)を用いてセルフスティグマの状態を測定、その低減を比較することにより、同教材の効果検証を行った。同教材の有効性に関しては有望な結果を得ることができ、原著論文としてアクセプトされた(Kato A et al, PEC Innovation 2023)。さらに、これら一連の分析結果にもとづき、同教材の実行可能性を上げるため、教材の各セッションの長さと画面の見やすさを中心に同教材を改訂した。
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