研究課題/領域番号 |
17K12241
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 教授 (50163514)
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研究分担者 |
山内 英子 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 部長 (50539088)
辻本 健彦 島根大学, 人間科学部, 講師 (00713299)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 乳がん / 術後ホルモン治療 / 運動療法 / 食事療法 / QoL |
研究実績の概要 |
乳がん術後ホルモン療法は、再発率や生存率を改善させる一方、体重増加や関節痛等の副作用を有することから、生活の質の低下が危惧される。乳がんにおいても発症後の生存率が高まっており、近年ではその予後を良好に保つための方略に注目が集まっている。運動実践や食習慣改善といった非薬物療法の効果について、海外では研究が盛んであるものの、遺伝的・文化的背景の異なる本邦においては検討が不十分である。 平成29年度は、1)これまでに研究代表者らが開発した慢性疾患者向けの生活習慣介入プログラムを術後乳がん患者に適用させるために国内外の先行研究を元に内容を精査し、2)研究者間での協議を行った上で、プログラム内容を確定させることとした。さらに、3)乳がん患者への横断的調査によって、体力水準等の特徴を明らかにすることとした。 1)および2)プログラムの決定:術後乳がん患者の生活習慣介入に関する先行研究を集め、プログラム内容を調査した。その結果、食習慣改善についてはバランスの取れたエネルギー制限が頻繁に報告され、多くの研究において5%以上の体重減少が確認された。運動では有酸素性運動だけでなく、筋力強化のためのレジスタンストレーニングも複数報告された。手術の際に大胸筋も摘出するケースがあり、筋量および筋力低下が問題視されている。これらを念頭に協議した結果、栄養バランスの取れたエネルギー制限の食事介入および筋力トレーニングを含めた多種多様な運動介入をそれぞれ少なくとも週1回ずつ行うことを決定した。 3)術後乳がん患者の横断調査:術後乳がん患者50名を対象に持久力や筋力等の体力を測定した。同世代の健常女性と比較して、バランス能力、柔軟性および筋力は有意に低かった。また、運動習慣のある乳がん患者(n = 25)は運動習慣なし群(n = 25)と比べて、BMIが有意に低く、運動習慣と身体形態に関連のあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に予定していた、1)および2)生活習慣介入プログラムの決定、3)術後乳がん患者の横断調査については、順調に進展している。横断調査については成果公表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、決定した生活習慣介入プログラムの効果検証を行う予定である。協力機関との連携もすでにできており、問題なく遂行できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
打ち合わせ回数が予定よりも少なく済んだことや、調査の際にかかる費用が予定よりも小さくなったことにより次年度使用額が生じた。次年度使用額については、平成30年度に予定している介入研究にかかる物品購入へ使用することを予定している。
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