研究課題/領域番号 |
17K12247
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小野 美穂 岡山大学, 保健学研究科, 講師 (20403470)
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研究分担者 |
太田 浩子 川崎医療福祉大学, 保健看護学部, 講師 (90321207)
上田 伊佐子 徳島文理大学, 保健福祉学部, 准教授 (90735515)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ピアサポート / がん / ピアサポートプログラム |
研究実績の概要 |
医療専門職の専門知と疾患を体験した患者の経験知を融合させた乳がんピアサポートプログラムのモデルケースについて、患者・ピアサポーター・看護師・医師といった関わった立場のすべてからの多側面評価を終え、すべての立場から多くのメリットを得ると同時に、課題も浮き彫りとなった。ピアサポートは、がん患者やその家族の助けや力になる一方 で、ピアサポーターが接し方を誤ると、がん患者やその家族を 逆に傷つけてしまったり、ピアサポーター自身が傷ついたりする可能性があることが報告されていることを踏まえると、このようなプログラムの効果的な運用には、やはり、ピアサポーターの資質や能力、適性といった要因が重要な鍵となると考える。調査の中で、ピアサポートを希望する患者は、ピアサポーターに対して自然体であること、つまり‘患者らしさ’を求めており、その雰囲気が誰にも相談できなかったことを相談させ、自分と同じ、孤独ではないという情緒的サポートにつながり、また、自分と似たような背景をもつ者を望み、個別的で詳細な情報的サポートを提供できるピアサポーターを必要としていた。また、医師や看護師がピアサポーターに求めていることは、ピアサポーターのレジリエンス能力や精神的安定性、客観性、相手にペーシングできる力、節度をわきまえているなどの成熟性、医療者とうまくやれる協調性などであることが分かった。現在、広く全国で行われているピアサポーター研修については、内容や方法に地域差等が大きく、レベルや項目にはばらつきがあり、総合的な評価には至っていない。効果的なピアサポーター活用を目指すには、現在までの取り組みを評価し、研修のハード面としてある程度のレベルや項目、展開方法を統一する必要があると考えると同時に、本研究で明らかになったように患者や医療者が求めるピアサポーターの資質・適性といったソフト面を併せて検討していく必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究初年度の遅れが、現在の遅れに影響を及ぼしている。また、大学教員のマンパワー不足による業務の増大により、研究活動がなかなか計画通りに進まないということも、理由の一つとしてあることは否めない。 さらに、冬季に入ってのコロナウイルス感染拡大により、コロナウイルス対策の業務が増えたこと、計画していた研究会が開催できなかったこと等も遅れている要因としてあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
今までの調査結果をさらに詳細に分析し、必要時、新たな調査を行いながら、ピアサポーター研修への提言をまとめるともに、ピアサポートプログラム全体を見直し、効果的なプログラムの検討を行う。 進め方については、今まで研究会を対面で実施していたが、今後は、オンライン研究会を開催できるように体制を整える。その際、事前打ち合わせを今まで以上に充実させ、事前の提示資料作成・確認などの徹底を行い、効果的で効率的なオンライン会議開催を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、研究会の開催ができなかったため、次年度使用額が生じた。 当該予算については、次年度、成果発表のための学術集会や論文英文校正のための費用や報告書作成のための費用、トナーなど消耗品などとして使用予定である。
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