化学療法を受ける乳がん患者には、代謝の変化や過剰な食事摂取、活動量の低下が指摘されている。また、患者の多くは治療に関連した倦怠感を経験しているが、倦怠感は苦痛を伴い、生活に影響を及ぼす。そのため、生活を維持・向上するためには、症状マネジメントとともに生活調整が必要である。最終年度である令和3年度は、これまでの結果に基づき、化学療法を受ける乳がん患者の生活調整プログラムを検討した。 血清総コレステロールが上昇するレジメンには体脂肪蓄積予防の生活指導が必要であり、倦怠感のマネジメントには、活動量の増加とともに倦怠感の程度や推移による体調の把握と早期からの対処方略が重要であることが明らかになった。これらの結果に基づき、①運動プログラム:日常生活下における生活活動を主とした活動量の増加とウオーキングプログラムの併用、②教育支援プログラム:治療の特性や倦怠感について知ることを目的とした冊子・動画によるプログラム、③コーピングプログラム:生活や体調をつかみ自分の状態に応じた対処法や調整方法を見出していくダイアログと振り返りを利用した自分で考えていくプログラムで構成された生活調整プログラムを検討した。
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