本研究の目的は経口抗がん薬治療を受ける外来患者のセルフマネジメントの実態や看護ニーズ、外来看護実践の現状と課題を明らかにし、患者の長期にわたるセルフマネジメントを支える外来看護モデルを検討することである。最終年度は経口抗がん薬治療を受けた経験のある患者および外来看護師を対象に質問紙調査を実施した。 経口抗がん薬治療を受けた経験のある外来患者16名に対する調査の結果、治療に伴う困難として「副作用の出現」「副作用症状に伴う日常動作・日常生活の支障」「経口抗がん薬を自分で管理していくことへの戸惑いや負担」などを感じていた。そして、セルフマネジメントとして、【薬による身体への反応に注意を向ける】【副作用症状の軽減を図る】【トライ&エラーを繰り返しながら自分なりの生活スタイルを確立する】【確実に抗がん薬を内服できるように工夫を凝らす】などが行われ、具体的な情報の提供や相談しやすい窓口・環境の整備などのニーズが明らかとなった。 また、経口抗がん薬治療を受ける患者と関わる機会がある外来看護師107名に対する調査の結果、セルフマネジメント支援として「服薬状況・副作用などの確認」「服薬管理・副作用対応に関する指導」「他職種間での情報共有・連携による支援」などを中心に実施されていた。一方で、支援上の困難として「マンパワーの不足」「多忙のために関われない」が上位にあがり、外来体制の拡充、対象ニーズに応じたケアの多様化、ケアの質的向上などの必要性が示唆された。 本研究はCOVID-19の流行に伴い研究方法を変更したことにより進捗に大幅な遅れが生じたが、今後は以上の知見から見いだされた外来看護モデルの構成要素をもとに、モデルの構築に向けて検討を進めていく予定である。
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