研究課題/領域番号 |
17K12254
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研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
広瀬 規代美 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (80258889)
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研究分担者 |
二渡 玉江 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (00143206)
橋本 晴美 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (20404923)
小林 万里子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (20433162)
中西 陽子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (50258886) [辞退]
浅見 優子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (50774345)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 家族ケア / がん告知 / 緩和ケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、がん告知を受けた家族への告知の段階から再発・緩和的治療の時期における支援体制の現状を多角的に把握し、がん告知を含めた診断期から治療期、終末期、さらには遺族に至るまでの患者の家族ケアシステムの構築を検討することである。がん告知後から段階的に現状を多角的にとらえ、がん患者の家族ケアシステムを構築する上で基礎的データを収集する目的で、関東圏内のがん診療連携拠点病院の外来看護師を対象に2018年度に調査を行った。同意の得られた施設に質問紙調査を実施した。データ収集項目は、がん告知から初期・再発・緩和的治療の時期の家族への看護支援の取り組み状況、各時期における看護支援上の困難や悩み、今後の課題等であった。2019年度は、データを質的分析を行い、第34回日本がん看護学会学術集会にて発表した。分析の結果、家族への看護支援の現状は、告知時〔積極的傾聴〕〔多職種連携による相談支援〕等、再発時は〔積極的傾聴〕〔ニーズに応じた相談支援〕等、緩和的治療期は〔療養環境調整支援〕〔現状理解の促進支援〕等であった。一方、困り事は〔家族間の意見の不一致による対応困難〕〔積極的傾聴の環境調整困難〕等、課題は〔連携による相談環境の体制整備〕〔看護師の専門的知識向上〕等であった。外来における告知後から緩和治療期の家族支援の現状は、時期を共通し家族の辛い思い寄り添い傾聴し、時期に応じた家族の理解度や反応に応じた対応等が認められた。一方、家族支援の必要性を理解していても、診察や検査等の多重業務の中で支援の時間や環境を確保できない困難な状況が明らかとなった。がん患者の療養環境を整備するには、家族を含めて早期医療・ケアの必要性、家族支援システムの構築が求められることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、がん告知後から段階的に告知後の患者家族における看護支援の現状を多角的に捉え、がん患者の家族ケアシステムの構築を検討するうえで、3つの調査を設定した。しかし、本研究は開始当初から教員体制が不足していたことにより学部教育が優先され、研究開始が遅れた。さらに2019年度も教員退職による教員体制の人数が不足し、学部の講義・演習・実習指導及び大学院授業や学内業務により研究の進捗状況は遅延した状況であった。その上、2019年度1月以降、新型コロナウイルス感染症による病院施設との調整が困難となった。調査2・調査3では、看護師や患者家族を対象とした面接調査を予定していることから、調査困難な状況が続き、研究の進捗状況に影響を及ぼしている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、がん告知を受けた家族への初期の段階から再発・緩和的治療の時期における支援体制の現状を、ケアを提供する側とケアを受ける側、及び量的・質的側面から多角的に状況を把握し、がん患者の家族システムの構築に向けた基礎資料を得ることである。2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う状況が収束に向かい、病院機能が平常に戻らなければ研究調査への協力依頼は厳しい状況である。社会情勢の動向とともに、調査開始・協力依頼のタイミングを見図り、倫理審査への手続きを進め、調査実施を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入物品が安価であったことや、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う学会発表はオンラインとなり研究組織全体の旅費支出がなかったこと、面接調査の実施が困難となり、調査費用の支出がなかったことなどが理由で、翌年度に繰り越しとなった。次年度は、新型コロナウイルス感染症の収束による社会情勢の動向を考慮し、調査実施を予定とする。調査実施が可能の場合は、対象者への謝金、調査旅費、データ処理ソフトの購入、学会参加に関わる参加費や旅費、物品購入費等を使用予定とする。
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