研究課題
本研究の目的は、がん告知を受けた家族への告知の段階から再発・緩和的治療の時期における支援体制の現状を多角的に把握し、がん告知を含めた診断期から治療期、終末期、さらには遺族に至るまでの家族支援について検討することである。調査1では、関東圏内のがん診療連携拠点病院の同意を得られた外来看護師を対象に質問紙調査を実施した。その結果、外来における告知後から緩和治療期の家族支援の現状は、時期を共通し家族の辛い思い寄り添い傾聴し、時期に応じた家族の理解度や反応に応じた対応等が認められた。一方、家族支援の必要性を理解していても、診察や検査等の多重業務の中で支援の時間や環境を確保できない困難な状況が明らかとなった。調査2では、スノーボールサンプリングにより対象者を選定した。対象者は、A県内・関東圏内にある都道府県がん診療連携拠点病院または地域がん診療連携拠点病院、がん診療連携推進病院に所属し、研究への同意が得られたがん看護専門看護師またはがん関連の認定看護師11名であった。インタビューガイドに基づき半構造化面接を対面またはオンラインZoomにより実施し、内容分析を参考に分析した。その結果、診断期は【患者単独の告知後の家族への説明支援】【診断時から継続した家族支援】【告知後の家族の状況に応じた具体的支援】等の8カテゴリー、再発期は【外来での再発告知の家族支援の困難さ】【家族の精神的ダメージを考慮した積極的関わり】等の5カテゴリー、緩和治療期では【緩和時の患者・家族の状況や意向に沿った支援の提供】【他職種を巻き込んだ効果的な関わりの提供】等の8カテゴリーが形成された。調査1・2の結果をふまえ、がん告知から緩和治療期・終末期までのがん患者の家族支援を検討するとともに、考察を通し遺族支援のあり方を検討する。今回、コロナ禍により遺族を対象とするインタビュー調査の実施が困難となり、今後の課題とした。