本研究の目的は、喉頭全摘出術を受けた患者(喉頭摘出者)の社会生活への適応を促進する看護援助の構造を明らかにし、看護介入モデルを構築することである。喉頭摘出者は喉頭摘出と同時に永久気管孔を造設することから、呼吸経路の変更、音声機能の喪失、嚥下困難など新たな課題に直面する。そのため、喉頭摘出者が退院後の生活においてQOLを維持・向上していくためには、社会生活に円滑に適応していかれるよう、機能障害に対する自己管理方法獲得への支援など、独自の専門的な看護が必要になる。しかし、この看護援助の構造は明確ではない。看護介入モデルを構築しそれにもとづき的確な時期に必要な看護介入を行うことは、退院後も支援を要することの多い喉頭摘出者の社会的適応をより円滑に、また早期に実現させるものと考える。 2019年度は、前年度に引き続いて分析の実施、第一段階目としての成果の公表、追加データ収集とそのデータの分析を実施した。分析方法はM-GTAであり、概念生成、類似性によるサブカテゴリー、カテゴリーの生成、サブカテゴリー間、カテゴリー間の関係性検討によるストーリーラインおよび結果図作成を実施した。これらの成果について、第39回日本看護科学学会学術集会において公表した。当該年度中、未分析データを含めて分析を継続し、概念生成の段階から再検討し3名を対象とした追加調査を実施した。今後、この追加データも含めた分析による最終的な研究成果について学術集会および論文により公表する予定である。
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