研究課題/領域番号 |
17K12258
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
小林 珠実 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (50382263)
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研究分担者 |
土井 英子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (10457880)
大場 美穂 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (20451768)
田代 理沙 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (60748945)
野村 美香 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (80276659)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グリーフ / 看取り / ターミナルケア / 高齢者ケア施設 / 看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、死の看取りを多く経験する看護師が、自身の悲嘆やグリーフワークをたどることを支援するために、高齢者ケア施設における看護師のグリーフアセスメントに基づくケアモデルを構築することである。 平成29年度は、研究の第1段階として、まず看護師のグリーフワークの様相から抽出された看護師支援の基盤となる理論の構築、高齢者ケア施設における利用者および家族のエンド・オブ・ライフ・ケアに携わっている看護師15~20名を対象に、個別に面接調査を行なうことであった。本年度は、看護師のグリーフワークの様相を踏まえた看護師支援の基盤となる理論を構築するためにも、看護師のグリーフアセスメントに関する文献検討を中心に実施した。 文献検討の結果、看護師は日常的に患者の臨終や看取りの場面に遭遇し、患者の回復あるいは安らかな死を迎えるための支援をしていた。そのなかで、看護師自身も信頼関係を築きながらかかわった患者を失うことでのグリーフを経験していた。危機的な状況のなかで、終末期の患者・家族の感情が露わになり、患者・家族は看護師に対して様々な感情をぶつけてくることが多く発生していた。看護師は自身の無力感や喪失感、否定的な思いを抱くなど、感情を常に揺さぶられていた。一方で、患者の臨終の場にかかわることが多い看護師は、患者の死を十分に悲しむ時間を持たないまま、患者の死後すぐに次の患者のケアを行わなければならず、無力感が生じることも明らかになった。看護師は専門職ゆえ、患者の死に対して悲しむことは医療者として相応しくないと一般的に解釈されているだけでなく、家族や遺族の前で涙を見せることは専門職として望ましくない姿であるといった見方もある。看護師自身に生じた悲嘆や喪失した感情を抑圧したり、悲嘆を回避してしまう可能性があり、看護師自身も度重なる喪失経験によるグリーフの蓄積が起こることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず看護師のグリーフワークの様相から抽出された看護師支援の基盤となる理論の構築、高齢者ケア施設における利用者および家族のエンド・オブ・ライフ・ケアに携わっている看護師15~20名を対象に、個別に面接調査を行なうこと実施計画であったが、グリーフワークの様相を踏まえた看護師支援の基盤となる理論を構築するためにも、まずは看護師のグリーフアセスメントに関する文献検討の作業を優先したため、当初の実施計画が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
看護師のグリーフアセスメントに関する文献検討の成果をまとめた後、引き続き、看護師のグリーフワークの様相から抽出された看護師支援の基盤となる理論の構築、高齢者ケア施設における利用者および家族のエンド・オブ・ライフ・ケアに携わっている看護師15~20名を対象に、個別に面接調査を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢者ケア施設での調査が遅れ、調査開始時に執行予定であった旅費、物品購入の執行が遅れたためによる。順次調査開始とともに執行予定である。
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