研究課題/領域番号 |
17K12265
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
庄村 雅子 東海大学, 医学部, 准教授 (40287115)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 進行肝細胞がん / 分子標的治療薬 / セルフマネジメント / 副作用マネジメント |
研究実績の概要 |
【背景・目的】2018年3月より切除不能・TACE不応の進行肝細胞癌に対するレンバチニブが保険承認された。レンバチニブは抗腫瘍効果が高いが、有害事象(Adverse Events:以下、AE)も多様である。当院でレンバチニブを投与した切除不能進行肝細胞がん17症例につき、初期使用経験をまとめた。また、同症例において、安全性(AE発現状況)と有効性につき検討した。 【方法】評価方法:AEは、CTCAEver4.0に準拠。有効性は、m-RECISTにより投薬開始後8-12週に判定。CR, PR, SDをDisease controlとし、判定不能症例はPDとした。観察期間は、レンバチニブ導入~死亡あるいは2019年1月20日までとした。 分析は、症例の背景、安全性(AE発現頻度)および有効性は、記述統計を用いた。症例ごとの治療効果は、swimmer plotにより図示した。投薬期間・Overall Survival(OS)とのベースライン(BL)背景との関連は、Kaplan-Meier法のLog-rank検定を行った。p<0.05を有意水準に採用。IBM SPSS Statistics ver25 for Windowsを使用。 【結果】対象は2018年4月~2019年1月に、東海大学病院消化器内科で、 レンバチニブを投薬した17例で、男性14例、平均年齢74歳、原疾患HCVかHBV5例、TNMステージIV10例、BCLC-C10例であった。グレード3以上のAEは、食欲不振、甲状腺機能異常、高血圧の順に多かった。導入時からの看護師によるセルフマネジメント支援あり群(11例)は支援なし群に比べ、OSと投薬期間ともに有意に良好であった。 【考察】レンバチニブによる肝細胞がんへの抗腫瘍効果は高いが、有害事象の頻度も高く、種類も多彩であるため、より慎重な副作用マネジメントが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試作したセルフマネジメント支援プログラムを進行肝細胞がん患者を対象にソラフェニブ、レゴラフェニブ、レンバチニブによる治療開始時から全例に試行している段階にあるが、対象数を増やすことが難しく、今後は多施設共同研究の可能性も含めて計画の見直しが必要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在実施している試作版セルフマネジメント支援プログラムの有効性に関する調査を完遂し、多変量解析においても本支援プログラムの有効性が示唆できるように調査計画を見直すとともに、研究環境の整備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象数が思うように増やせず、研究の進捗が遅れているため、2018年度も成果発表予定の国際学会渡航費・参加費や英文雑誌への投稿に充てる予算が執行できなかった。2018年度末より、調査結果のデータ入力などの人件費を活用し、研究のより円滑な遂行を工夫しはじめたところである。
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