研究課題/領域番号 |
17K12265
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
庄村 雅子 東海大学, 医学部, 准教授 (40287115)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肝細胞がん / 分子標的治療 / 健康関連QOL / セルフマネジメント |
研究実績の概要 |
レンバチニブ治療を受ける進行肝細胞がん(HCC)患者について、治療開始(Baseline、BL)時の、Health-Related Quality of Life(HRQOL)やSelf-Efficacy(SE)を含む特性のうち、治療効果や投薬期間および全生存期間(OS)に影響する因子を特定することを目的に結果をまとめた。2018年4月-2019年11月の期間、レンバチニブ治療を受けたHCC患者に対し、BL以降毎月、外来で定期的な看護ケアと電話フォローを行い、HRQOL尺度とSE尺度とを用いて患者の状態を前向きに評価し、予後との関連をmultiple regression analysisで解析した(有意水準p<0.05)。対象患者は46例で、男性37例(80%)、年齢70歳以上36例(80%)、HCV14例 (30%)、Child-Pugh5点29例(63%)、BCLCステージ:B1/B2/C:2/19/25であった。投薬期間中央値は7.7ヶ月、生存期間中央値は10.2ヶ月であった。44例の有効性は、CR/PR/SD:1/15/14で、DCR68%であった。有害事象は全グレードで発現の多かった順に、倦怠感39例(85%)、食欲不振31例(67%)であった。HRQOLでは全般的健康観、身体・役割・社会機能が、3ヶ月間に有意に低下した。Disease Controlは、男性(p=0.014)で良好であった。投薬期間では、有害事象の食欲不振有[HR3.410,95%CI:1.164-9.991](p=.025)で悪かった。OSでは、蛋白尿有[HR0.314,95%CI:0.433-0.743](p=.008)がOS延長に寄与する可能性が示された。投薬期間やOSの寄与因子である、食欲不振などの有害事象に対しBLから患者教育に基づく症状モニタリングと予防投薬などの対策が必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象を分子標的治療を受ける肝細胞がん患者に絞る必要があったため、対象数の確保が十分でない。また、統計解析等の相談窓口が緊急事態宣言により対応してもらえない状況にあり、3月現在でのデータの解析が進まずにいる。以上のことから、研究の進捗は、やや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在施行している試作版セルフマネジメントプログラムの有効性に関する調査を完遂し、無作為化比較試験へ移行できるよう計画の見直しと、研究環境の整備を進めていくと共に、現在までのデータの整理・分析、および論文の投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
分子標的資料を受けている肝細胞がん患者へのセルフマネジメントプログラムの実行可能性研究の調査成果を発表予定であった国際学会や英文雑誌への投稿準備が、COVID-19の対応により中止や延期となったため、海外渡航費・学会参加費・英文校正や掲載料などの計画していた予算を執行できなかった。 2020年度に前年度執行できなかった英文校正や掲載料、学会参加費として残額を使用する計画である。
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