研究課題/領域番号 |
17K12270
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
井上 菜穂美 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (00454306)
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研究分担者 |
前澤 美代子 山梨県立大学, 看護学部, 准教授 (00413211)
野方 円 松山東雲女子大学, 人文科学部, 准教授 (60454310)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 続発性リンパ浮腫 / セルフマネジメント / ICT(情報通信技術) / 若年世代 / 看護支援プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、専門的ケアを受ける機会に乏しく、長期的に不安を抱えて生きる若年世代の続発性リンパ浮腫患者に焦点を当て、がん治療後の続発性リンパ浮腫患者に対するICT(情報通信技術)を活用したセルフマネジメントを促進するための看護プログラムを開発することを目的とする。本研究の具体的目標は以下3点である。 (1)がん治療後の続発性リンパ浮腫患者に対する看護ケアの実態と課題を明らかにすること (2)がん治療後に生じた若年世代の続発性リンパ浮腫患者に対するICTを活用したセルフマネジメントを促進するための看護プログラムを作成すること (3)作成したプログラムを地域で生活する続発性リンパ浮腫患者に適用し、プログラムの効果を検証すること 2020年度(令和2年度)は、具体的目標(1)に関連して、終末期がん患者のリンパ浮腫ケアにおいて緩和ケア認定看護師が抱える課題とニーズが語られたことから、2019年度までに得られたデータを活用して分析を行った。この結果は関連学会で発表し、ピアレビューを受ける予定である。また、関連する学会誌または所属機関の紀要に研究報告として投稿準備を進めている。具体的目標(2)について、プログラムの構成要素およびICTの具体的活用方法について、研究分担者2名と検討を重ねている。当初はリンパ浮腫患者を対象としたプログラムの開発が目的であったが、具体的目標(1)で得られた成果から、看護師対象の支援プログラムの必要性が示唆されたため、患者および看護師を対象としたプログラムの作成を進めていく予定である。具体的目標(3)について、新型コロナウイルス感染症の影響により、がん患者を対象とした研究の実施は現実的ではないと判断し、具体的目標(2)で作成したプログラムについて、看護師および若年世代の健康な一般人を対象にプレテストを実施するよう研究計画を変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画および研究スケジュールでは、2019年度(令和元年度)内に具体的目標(2)「がん治療後に生じた若年世代の続発性リンパ浮腫患者に対するICTを活用したセルフマネジメントを促進するための看護プログラムを作成すること」まで終了し、2020年度(令和2年度)内に具体的目標(3)に示すプレテストを実施する予定であった。 具体的目標(2)については、研究分担者と定期的な打ち合わせを行い、プログラムの構成要素や具体的な運用について検討を進めたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面での研究会議やプログラムの作成が不可能となり、看護プログラムの試案作成には至らなかった。また、具体的目標(3)のがん患者を対象としたプレテストの実施は非常に困難であることから、研究計画の変更を余儀なくされた。 一方で、具体的目標(1)で得られた成果から、終末期がん患者を含む浮腫のケアにおける看護師対象の支援プログラムの必要性が示唆され、一定の成果は得られたと考える。 以上のことから、補助事業期間の延長の申請に至っており、現在までの進捗状況は「遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の進捗状況は「遅れている」と評価するが、2021年度(令和3年度)は、続発性リンパ浮腫患者に対するICTを活用したセルフマネジメントを促進するための看護プログラムの試案作成を進め、実現性の高いプログラムを構築していきたいと考える。 具体的目標(3)について、がん治療後に地域で生活しているがんサバイバーを対象としてプログラムの効果の検証を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、研究対象者であるがん治療後の続発性リンパ浮腫患者に対する倫理的配慮および安全性を確保する必要がある。そのため、本研究で構築する看護プログラムの対象者である若年世代の続発性リンパ浮腫患者の世代性の特徴をふまえて、がんに罹患していない20~30歳代の健常者を対象としたプレテストを実施し、プログラムの構成内容や実施方法について検証することとした。 さらに、具体的目標(1)で得られた成果から、終末期を含む浮腫のあるがん患者のケアに携わる看護師を支援するために、多忙な看護師が浮腫のケアに関する情報を得たり、相談機能を有する支援プログラムを作成していきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
看護プログラムの構築に必要なICT資材を中心に予算執行してきたが、先に述べたように2020年度(令和2年度)以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、看護プログラムの試案作成には至らなかったことから、プレテスト参加者への謝礼やテープ起こし業者謝礼、サーバー管理料等の執行がなかった。また、資料収集や研究成果の発表、研究分担者との打ち合わせ等のための出張旅費の執行がなかった。 2021年度(令和3年度)は、変更した研究計画を遂行するために、看護プログラムの作成を進める上で必要な打ち合わせ、アプリケーション開発、プレテスト対象者への謝礼等のために予算執行する予定である。
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