研究実績の概要 |
本研究は、1.幼児と母親をペア(組)とした日常的な食習慣調査、2.調査結果に基づいた健康教育プログラムの開発の2段階で実施した。 まず、3歳児を育てている母親と子どもを対象とし、2017年10月、2018年3月に、ふたつの地方都市の幼稚園、保育園の6施設で自記式食事歴質問票の簡易版 (brief-type self-administered diet history questionnaire; BDHQ)の成人用BDHQと3歳児用BDHQ3yを用い調査した。母親301名、幼児298名の有効なデータを得た。分析の結果、「食事バランスガイド(厚生労働省・農林水産省,2005)」で提示されている1日分の望ましい量のすべてのカテゴリーの目安量を満たしている母親はいなかった。また「幼児向けの食事バランスガイド(東京都福祉保健局,2006)」による1日の目標量を食事バランスガイドによる分類すべて満たしている幼児もいなかった。母親と子どもとの食事傾向の一致度は、牛乳・乳製品は「おおむね一致」であったが、その他は「わずかに一致」に留まった。調査結果より、次の7点を母子の食生活の特徴と総括した。①母親の食事バランスでは、主食が少なく、主菜が多い。②子どもの食事バランスでは、副菜がやや少ないが、主食はほぼ適量摂取されている。③母子ともに果物の摂取が少ない。④母子ともに、菓子類の摂取が多い。⑤栄養補助食品、サプリメントを利用している子どもは1割弱いる。⑥母子間での栄養補助食品を利用すること、「何かをしながら」食事をするという行動の一致が認められる。⑦暮らし向きと食事摂取量の関連は認められなかった。 これらの特徴より、教育プログラムのコア・テーマを①主食と菓子類の摂取を含めた食事バランスの見直し、②子どものサプリメント利用、③生活習慣と食事とし、母親への教育プログラムのリーフレットを開発した。
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