研究課題/領域番号 |
17K12287
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
桶本 千史 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00587975)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 先天性心疾患児 / 療育 / 母親としての自信 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、先天性心疾患児の母親の『母親としての自信』を育む初期療育支援プログラムを開発することである。研究方法として、先天性心疾患児の母親へのインタビューによる質的研究、および調査用紙による量的研究を行う予定である。 平成29年度は、質的研究実施に際して、研究者の面接実施と実施後のフォローのスキルを確保するために、Triple P ファシリテーター養成講座を受講し、プロバイダーの資格を取得した。Triple Pは、前向き子育てプログラム(Positive Parenting Program)と呼ばれ、オーストラリアで開発された後、日本を含め世界20ヵ国以上で実施・評価を受けている。本ファシリテーター養成講座の中でも、養育者とマンツーマンで面接を行い、養育者の話を聞き、養育における悩みを解決するプライマリケアTriple Pのプロバイダー資格を取得した。これにより、質的研究において重要とされるデータの豊富さを確保するための面接スキル、および、自身の子どもの疾患とその養育体験という母親にとって辛かった経験や気持ちを表現する可能性のあるインタビュー実施後のフォローアップという倫理的側面からの配慮を手厚くできる準備を行った。また、最終目的である先天性心疾患児の母親の『母親としての自信』を育む初期療育支援プログラムを開発するための知識・スキルとしても、本資格取得は有意義なものであると考える。 また、量的研究実施に向けて、より妥当な調査項目設定・修正のために、先天性心疾患児の療養・療育に関する文献、および、『母親としての自信:maternal confidence』に関する文献・書籍について精読を重ね、検討した内容を文献研究・概念分析として論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたが、質的研究時のデータの豊富さと研究実施に伴う研究対象者への倫理的配慮を行うための対策として、当初予定していなかったプライマリケアTriple Pのプロバイダー資格を取得したこと、この際の受講によって、量的研究における調査項目にも部分的に修正を加えることが必要と判断し、調査前の準備作業を追加したことが計画より作業が遅延した理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画より質的研究開始の時期が遅延したが、平成29年度に行った作業を基にして当初の予定通り先天性心疾患児の母親に対する質的・量的研究を実施する予定である。 質的研究のデータ収集開始時期は遅れたものの、元々、研究の最終段階である両研究結果を結び付けてのプログラム開発には時間的余裕を持っており、平成30年度から31年度上半期においてデータを収集・分析し、これらをまとめて支援プログラムを形づくる予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた質的研究のデータ収集開始が遅延し、次年度に持ち越したため。
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