本研究の目的は、出産後の母親のボンディング障害の有病率の実態を明らかにすること、出産後の母親のボンディング障害の予測因子を明らかにすること、妊娠期から出産後の母親のボンディング障害の推移を明らかにすることである。 本年度は、データ解析と論文執筆を行った。ボンディング障害を分類するための面接法と質問紙法で得られたデータを使用して、ボンディング障害に分類された事例の長期的経過を分析した。またボンディング障害のスクリーニングを目的として、2つの質問紙のカットオフ値の検証を行った。面接法を用いたすべての事例において、2つの質問紙の得点を用い、カットオフ値の設定と、感度・特異度、陽性予測力・陰性予測力を算出した。このカットオフ値を用いて、出産後にボンディング障害の可能性のある母親の割合を算出した。またボンディング障害の予測因子については、面接法を用いた事例分析や、質問紙を用いた統計解析によって分析した。また面接法と質問紙法を用いて、妊娠期から出産後の母親のボンディング障害の推移を分析した。 本研究において実施したボンディング障害を分類するための面接法と、ボンディング障害をスクリーニングするための質問紙のカットオフ値の設定は、臨床的に意義のあるものである。これらの成果により、妊娠期から出産後のボンディング障害の可能性がある母親のスクリーニングやボンディング障害の分類を行い、妊娠期から出産後の継続的な支援へ活かすことができると考える。
|