研究課題/領域番号 |
17K12295
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 規子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (90315268)
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研究分担者 |
中込 さと子 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10254484)
宮原 春美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (00209933)
森藤 香奈子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (70404209)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Prader-Willi症候群 / 就学期 |
研究実績の概要 |
本調査は,就学期のプラダー・ウィリー症候群(以下,PWS)のある児が社会的適応を促進する為のベストプラクティスの開発を目的とする. 平成29年度はPWSのある児の実態調査を保護者対象に実施した.調査対象は就学期あるいは就学準備期にある4~15歳のPWS児の保護者で無記名自記式質問紙調査を実施した.調査内容は児の基本属性,受けた診断と治療,就園・就学状況,日常生活,児の担任とのコミュニケーション等とした. 回答はPWS児20名の保護者から得た.児がPWSと診断された時期は生後0か月から1歳10か月であった.これまでに18名が成長ホルモン補充療法を受け,うち14名(70%)が標準体重の範囲内であった.全ての母親が食事の工夫をし,運動・余暇では水泳,ウォーキング,公園遊び等をしていた.保護者と担任の関係では,担任に相談したいと思った経験を保護者19名中16名(84%)が,担任とコミュニケーションがうまくいかないと感じた経験を保護者16名中8名(50%)が,担任に言いたいけれど言えない経験を保護者18名中7名(39%)がしていた. 以上の結果より,PWS児14名が標準体型であったことは,PWSの早期診断によってPWSの特性を考慮した管理や治療が可能になったためと考えられた.今後,学校を含め,家庭,医療,学校との連携支援を探っていく必要がある.一方,担任とのコミュニケーションに戸惑う経験をした保護者は約半数おり,保護者と担任間の認識の「ズレ」が原因の一つと考えられ,児への適切な支援を妨げる可能性をもつ.双方が当然起こり得る「ズレ」を自覚しながら,共に繰り返しコミュニケーションを図ることは,PWS児への個別対応を可能にすると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の計画は保護者と教員への調査であった.保護者の分析結果を受け,教員の調査を計画していたが,保護者の分析に時間を要し,教員の調査は保留した.
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今後の研究の推進方策 |
PWS児の支援を検討する上で,PWSに特有な不適応行動の理解が不可欠と考えた.今年度はPWS児・者自身から見た世界を記述することを試みる.PWS本人が言葉にできない“生きづらさ”を文字(言葉)で表現することができれば,PWS児・者の周囲の者の関わり方はより明確になると考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は調査対象を保護者と教員に予定していたが,保護者の調査分析に時間を要し,教員の調査まで至らなかった. 保護者の結果からPWS児・者の支援の重要性が明らかとなり,適切な支援を検討するためにはPWS特有の不適応行動の理解が必要と考えられた. 次年度はPWS児・者本人が不適応行動を繰り返す中で感じる”生きづらさ”を,PWS児・者本人にインタビュー調査を実施し明らかにする.
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