本研究の目的は、妊娠した夫婦に対し妊娠期から産後1年半までにおいて、親となる準備性と夫婦のもつ育児力、それらに関わる課題について客観的に査定し、目標設定、支援、評価ができる支援者の養成プログラムを開発することである。 2019年~2021年度に地域在住の夫婦に対して支援を行った保健師からの両親調査(ケンプ・アセスメント)や支援に対する意見、2021年度に実施した両親調査研修会に参加した看護職からの意見を参考に、2022年度に米国の研修協力者とオンライン会議にて検討を行った。特に両親調査の面接や評価方法が難しいことから、各自で学修できるように、両親調査の基礎編と夫婦支援場面のシナリオを考え、2022年~2023年にかけてDVD(2枚組)を作成した。DVDの内容は基礎編として①両親調査の知識(ケンプ・アセスメント10項目の内容や活用例、聞き方など)、②10項目の評価のポイント、③両親調査の面接方法例、④夫婦への支援(どのような家庭を作りたいかなどの夫婦の話し合いや親の関わりと子どもの脳の発達の演習等)、⑤手作りおもちゃ(音の出るおもちゃや筒型のおもちゃ)とその遊び方等であった。作成したDVDはA県内の各市町村の母子保健担当者等に配布した。 これらをふまえ、親となる過程を促進する支援者の養成プログラムとして、研修は2日間で、両親調査は講義と面接練習で6時間、夫婦への支援方法は90分とした。夫婦を査定する両親調査は講義及び面接方法と評価方法、支援は夫婦の話し合いの促し方、おもちゃ作りと使い方等を組み込んだ。また、両親調査の面接練習では評価項目を念頭においた面接者各自の質問項目の作成と練習の仕方について検討した。
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