研究課題/領域番号 |
17K12299
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
関 美雪 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40299847)
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研究分担者 |
佐藤 玲子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (00255960)
上原 美子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (10708473)
服部 真理子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (50336492)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 父親 / ストレス対処能力 / 自己効力感 / 精神的回復力 |
研究実績の概要 |
妊娠・出産・子育て期の家族は発達段階の移行期であるため、容易に危機的状況に陥りやすい。そのため、子ども虐待など、家族の子育てに対する不適応から生じる課題は確実に増え続けている。家族が本来持っているセルフケア機能を引き出すとともに、家族の発達課題を促す支援が必要である。本研究の目的は、父親のコンピテンシーを強化する支援ツールを活用した育児支援プログラムを開発することである。父親のコンピテンシーを明らかにするために、4か月までの乳児を持つ父親を対象とした調査を実施し、「自己効力感」、「ストレス対処能力」、「精神的回復力」に着目し、関連要因との検討を行った。その結果、「職場の上司や同僚に子育ての話ができる」、「子育ての理解がある職場である」、「子どものことを気軽に話せる人がいる」、「パートナーの話をよく聞く」の項目との関連が明らかとなった。また、いずれの概念も「子育ての困難感」との関連が示され、育児という課題遂行を行うにあたり重要となる概念を検証した。 次に、第1子を妊娠している妊婦と配偶者を対象に、出産と育児についての講話と交流、妊婦体験・沐浴体験などの体験による内容で構成された育児支援に着目したプログラムを実施した。参加群と非参加群を比較した結果、配偶者が出産後2か月までに実施した調査では、参加群の父親は「子育ての困難感」を感じる割合が少なく、父親の育児困難感を軽減する可能性が示唆された。また、「ストレス対処能力」に関連する概念が、父親の子育てにとって鍵となる概念であることが明らかとなった。家族発達段階の移行期における父親の対処能力に関するエビデンスや、具体的な方略については、母親を対象にしたものに比べて脆弱である。コンピテンシーを強化する支援ツールを活用した育児支援プログラムは、子育て期の家族の健康悪化を防ぎQOLの維持を向上する健康管理をめざすことが期待できる。
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