本科研においては、助産師外来を活用した妊娠糖尿病(以下GDM)女性への妊娠分娩産褥期の継続的な支援の確立が目的である。最新のエビデンスでは、長期間の密度の濃い母乳育児と産後早期の体重復帰が、GDM既往女性の2型糖尿病発症予防で効果があるという。これらは特に助産師外来での助産師による支援が重要であることを示している。本研究では、研究代表者・研究協力者が協働して、診療報酬において従来からある在宅妊娠糖尿病患者指導管理料に産後の支援を追加することを、2019年6月に日本母性看護学会を通じて申請し働きかけてきた。その成果として2020年4月から指導管理料を産後「産後12週まで」に1回追加して実施可能となった。診療報酬上その実施が助産師外来や助産師に限定されているわけではないため、助産師外来を運営する助産師に対する周知が重要となる。 2020年度は、この診療報酬上の変更とそこに助産師が関わることの必要性について周知に努めた。『助産雑誌』2020年4月号において特集「妊娠糖尿病~妊娠期から始める女性の健康支援~」を組み、「在宅妊娠糖尿病患者指導管理料が産後に拡大!~助産師外来での診療報酬の獲得を目指して~」と題して紹介すると共に、GDM妊婦・既往女性への助産師の関わりの重要性について、これまでの研究成果をまとめて論文化した。また、本科研で作成した『妊娠糖尿病を経験されたあなたに』のパンフレットを更新し、『「在宅妊娠糖尿病患者指導管理料」に関する手引き(初版)』を作成した。パンフレットおよび手引きは、毎年開催している日本母性看護学会主催のGDMセミナーを通じて周知し、今後、これまでセミナーを受講した助産師を中心に配付し、活用を促し、助産師が助産外来における実践につなげていく予定である。介入プログラム開発や介入評価のプロトコール作成については今後の課題として残っている。
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