研究課題/領域番号 |
17K12320
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
細坂 泰子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90459644)
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研究分担者 |
茅島 江子 秀明大学, 看護学部, 教授 (70125920)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | しつけ / 虐待 / 境界 / 育児 / 父親 / 母親 / 尺度 |
研究実績の概要 |
児童虐待相談対応件数は年々増加し続け、2018年度も既に半期ベースで過去最高となっている。育児を担う父親・母親は自分自身のしつけが“虐待”とみなされるのか、他者の視点を非常に気にしており、その悩みは育児不安に影響を及ぼしている。本研究の目的はしつけに悩む両親が自分自身分でその危険度をトリアージできる尺度を開発し、子育て世代に対する包括支援ケアシステムを構築することである。本研究では父親・母親が自分自身しつけを判断できる尺度を作成することで不要な育児不安を減らし、それらを用いた子育て世代包括ケアシステムを構築することで、有効な育児支援につながると考えられる。 本年度は計画通り、昨年度行った文献検討、倫理申請、研究対象者へのリクルートを基に、父親に対するインタビューデータを収集した。乳幼児を養育する父親を選定したのは、被虐待児は6歳までの乳幼児期が43.5%(厚生労働省、2014)と高い割合を占めていることから、この時期の親への育児と虐待の境界に関連する支援の必要性が高いと考えられたからである。また学童期以後はしつけ以外の学業に関連する項目の比重が高くなることから、乳幼児を養育する父親を対象とした。対象者は11名で、平均52分の半構造的面接を行った。徐々にデータから得られるカテゴリーが飽和し始め、11名で飽和に至ったため、分析対象者11名とした。研究参加者からは【漠然とした育児に対する畏怖】、【虐待が入り込む育児の隙間】など5カテゴリー、24のサブカテゴリ-が抽出された。現在、国際学会での発表予定であり、論文化を進めている。 2019年度は父親のインタビューで得られた概念と、前回、母親を対象に行ったインタビュー結果から「両親のしつけセルフトリアージ尺度」を開発し、まずは医療 者や保育者を中心にパイロットスタディを重ねる。その上で母親・父親を対象にその効果検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象者へのデータ収集を終え、分析を終了した。データは現在国際学会の発表準備、および英文での原著論文の発表準備中である。 2019年度は上記研究結果と先行研究結果を合わせ、「両親のしつけセルフトリアージ尺度の開発」を進めていく。具体的には研究0(母親対象)および研究1(父親対象)のデータおよび文献検討から尺度項目を作成し、パイロットスタディ(対象者:保健師、保育士、母性・小児看護学研究者)をオオナイ尺度開発を進めていく。その結果から修正した尺度を用いて、両親のしつけセルフトリアージ尺度項目の因子構造の把握、および尺度の信頼性・妥当性を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は早急に尺度項目を作成する。先行研究から得られた知見を基に、育児を行う両親が自分自身で付けやすい、簡便な尺度の開発を行う。またパイロットスタディを行って、最終的な尺度の信頼性・妥当性を、対象者となる両親に行って検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度得られたデータを研究代表者および共同研究者とで国際学会に発表予定である。当該年度に費用としていた経費を翌年度に回したため、次年度使用額が増加した。
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