研究課題/領域番号 |
17K12322
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
山崎 圭子 宮崎大学, 医学部, 教授 (50535721)
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研究分担者 |
高木 廣文 天使大学, 看護栄養学部, 特任教授 (80150655)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 疲労感 / 産後 / セルフモニタリング / 尺度 |
研究実績の概要 |
本研究は、出産後の母親が「産後の疲労感」尺度を用いて疲労感のセルフモニタリングを行い、疲労を蓄積させないように生活をセルフコントロールできるようケア介入することで、抑うつ状態の悪化を防ぎ、産後うつ病のリスクを軽減さ せることを目的としている。 初年度である平成29年度は、「産後の疲労感」尺度(産後4か月版)の開発に取り組んだ。まず初めに、尺度項目を作成するにあたり、産後4か月までの乳児を持つ母親の疲労感に関するインタビュー調査を実施した。対象者は、産後4か月までの乳児を持つ初産婦(合併症・母子分離がない母親)で、半構造化面接を行った。調査内容は、①出産後から現在までで疲労感が最も強かった時期とその時の身体的・心理的な自覚症状、②①の疲労感が軽減してきたと自覚した時期とその頃の生活状況、③児の成長・発達に伴う育児関連の疲労感、④パートナーや家族などのソーシャルサポートに関連する疲労感についてインタビューを実施した。対象者は、育児環境の異なる2か所(首都圏と地方都市)で募集を行った。首都圏では、4か月時乳児健康診査を受診した母親および助産院に来院した母親にチラシを配布した。地方都市では助産院に来院した母親にチラシを配布し、研究協力を求めた。現在、産後4か月の母親のデータはほぼ飽和した状態となっているが、産後2~3か月の母親のデータが不足しているため、現在も調査を続行している。 なお、本年度は、前述したデータを基に産後4か月まで使用可能な「産後の疲労感」尺度を作成し、質問紙調査により信頼性・妥当性を検討する予定であったが、児の睡眠のリズムがついてくる時期である産後2~3か月の母親へのインタビュー調査を補ってから尺度の信頼性・妥当性の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産後4か月までの乳児を持つ母親の疲労感に関するインタビュー調査を実施した。これまでの調査結果から、産後の疲労感の自覚症状に変化が起きる時期は産後2~3か月であった。そのため、産後の疲労感の変化の時期にある産後2~3か月の母親の語りからリアルタイムにデータを収集する必要があると判断し、研究対象者の募集方法を産後2~3か月に限定してデータ収集を続行している。今後は、質問紙調査を実施する研究協力施設と事前準備を進めるとともに、実施後のデータ解析を迅速に行い、今年度の遅れを取り戻していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、「産後の疲労感」尺度(産後4か月版)の信頼性・妥当性を検討するための質問紙調査は、宮崎県で実施する予定である。宮崎県は、周産期医療施設の機能分担化が明確であり、1次から3次医療施設が連携を図りながら周産期医療が提供されている。そのため、質問紙調査の実施にあたっては、病院機能による影響(ハイリスク妊産婦、年齢等の偏り)を最小限にするために、1次から3次までのすべての施設を対象にして調査を行う予定である。 また、国は、母子保健医療対策の強化として、平成29年度から産婦健康診査事業を開始したことにより、産後2週間健診を新たに開始した自治体も多い。産後健診で使用されているエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)などの3種類の調査の利用状況や課題を情報収集し、「産後の疲労感」尺度(産後4か月版)の効果的な活用について医療機関および自治体ともに検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に「産後の疲労感」尺度(産後4か月版)を作成し、質問紙調査を実施する予定であったが、児の睡眠のリズムがついてくる時期である産後2~3か月の母親へのインタビュー調査を補ってから尺度の信頼性・妥当性の検討を行うことに計画を変更したため。平成30年度は、前述した質問紙調査後に、産後の疲労感のセルフモニタリングツールのWeb開発と測定効果の評価を行う予定である。
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