出産後の母親の疲労感に対するセルフモニタリングが認知と対処行動にどのような影響を及ぼすのか、また、セルフモニタリングに至らなかった場合の疲労感に対する認知と対処行動について明らかにすることを目的とし、質的記述的研究および自記式質問紙調査を実施した。調査期間は2021年6月30日~2021年8月15日で、出産後の産褥入院中に、産後のホルモンの変化に伴う心身の症状等と、産後の疲労感の測定方法について情報提供を行い、産後1か月健診時に半構成的面接を実施した。自記式質問紙調査(産後の疲労感尺度Ver.2、エジンバラ産後うつ病質問票:EPDS)は、入院中と産後1か月健診時に実施し、比較した。 研究対象者は3名で、産後の疲労感に対するセルフモニタリングを実施していなかった。産後の疲労感は、3名ともに入院時の疲労感の得点は産後1か月健診時に下降していた。EPDS得点は、入院時および産後1か月のすべての時期で8点以下だった。産後の疲労感に対する認知と行動について分析した結果、【産後に生じる心身の症状は不可抗力だと考える】【少しでも楽になるための対処行動をとる】などの5つのカテゴリーが抽出された。 研究対象者が疲労感のセルフモニタリングに至らなかった背景には、母親が自分の心身のことを考える余裕がないことや、【産後に生じる心身の症状は不可抗力だと考える】ことが疲労感に対する認知やセルフモニタリングを阻む要因となっていることが考えられた。また、母親らの疲労感に対する対処行動は、疲労感を軽減する根本的な対処行動ではないことから、客観的な指標である産後の疲労感尺度を用いたセルフモニタリングを行い、母親が自分の疲労状態を的確に把握し、疲労感に直接的に対処できるよう支援していくことが必要であると考える。
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