研究課題/領域番号 |
17K12336
|
研究機関 | 福岡女学院看護大学 |
研究代表者 |
椎葉 美千代 福岡女学院看護大学, 看護学部, 准教授 (70549906)
|
研究分担者 |
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 教授 (20343709)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 妊婦健康診査 / 血圧変動性 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、妊婦健康診査の血圧変動性(visit-to-visit variability in blood pressure)が妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy ; HDP)の発症予知の指標として有用であるかを検討するために、臨床研究審査委員会の承認を得て、後向きコホート研究を実施した。周産期一次医療施設で、妊婦健康診査、助産録、入院記録、退院診察、産後1か月健診等の内容を収集した。妊婦695名の調査を行い、対象選定基準に497名が該当した。該当者の中でHDPの定義に当てはまる妊婦は20名(4.02%)であった。 妊婦健康診査の収縮期血圧(systolic blood pressure ; SBP)と拡張期血圧(diastolic blood pressure ; DBP)は、HDPの定義と発症時期による病型分類を参考に妊娠7~19週、20~33週、34~41週の3群間で比較した。血圧変動性(standard deviation ; SD)は、SBPの血圧変動性7.41±2.59 mmHgを参考に1.00~4.82未満、4.82~7.41未満、7.41~10.00未満、10.00~31.83未満の4群間、DBPの血圧変動性6.11±1.95を参考に1.00~4.16未満、4.16~6.11未満、6.11~8.06未満、8.06~15.73未満の4群間に分けて比較を行った。 妊婦健康診査のDBPの血圧変動性が8.06以上の場合に、妊娠34週以降のDBPの上昇に有意差を認め、妊婦健康診査のDBPの血圧変動性が妊娠高血圧症候群遅発型(late onset type)発症時期の血圧上昇を予測する指標になる可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊婦健康診査の血圧変動性に関する調査および分析を終了した。次のステップである妊婦の生活習慣とHDPの関連を調査するアンケート用紙を作成中であり、おおむね順調に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はHDP発症の生活習慣リスク因子を調査する。周産期一次医療施設で、外来受診時の待ち時間等を利用し、身体活動状況((就業、運動習慣、睡眠習慣、運転の有無)、感染予防行動(清潔習慣、歯科健診、妊娠中の感染の有無)、冷え予防行動(体温、冷え性の有無、入浴習慣)、食習慣、排泄習慣、嗜好品等の生活習慣に関するアンケート調査を行う。分娩後カルテからHDPに関するデータ収集を行い、妊婦の生活習慣との関連を検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に実施した妊婦健康診査の血圧変動性に関する資料収集を学会参加ではなく、文献抄読で進めたことによって次年度使用額が生じた。その助成金は次年度のアンケート調査を遂行するために使用する。
|