妊婦の多くは非妊時と変わらず社会で生活をする健康な女性である。しかしこれまでの研究により,「正常妊婦」とされている健康な妊婦においても,いくつものマイナートラブルを経験することによって,QOLが脅かされていること,また産後の快適性やうつ状態の程度との間に関連があることが明らかとなった。これまでにも,いくつかのマイナートラブル症状に関する介入方法(ケア)については報告がある。しかし,マイナートラブルは発症のメカニズムからすると,症状が相互に関連し合う。このことから,ケアの有効性の評価においては,症状の変化を包括的に評価することが必要であると考えた。 本研究では,「マイナートラブルに有効とされるケア」や,「妊婦の快体験」を強化するケアの有効性を明らかにし,研究成果を助産師に提供するところまでを目指した。研究方法は3種類のケア,①主としてローリスク妊婦に助産を提供している助産院で提供されているケア,②妊婦の「快体験を強化」するケア,③先行研究で紹介されているケア,から提供されたケアの効果を主観的,客観的評価方法により評価し,マイナートラブルに対するケアのエビデンスを明らかにすること。さらには,その成果を公表する方法を検討することとした。 本研究着手後,まず③のケアに関する文献検討を実施した。また研究(代表)者の所属研究機関の変更により,研究対象者の確保,介入方法等の計画に変更が必要となったため,再検討,調整をした。同時に,本研究の前提となる妊娠中のマイナートラブルの産後への影響に関する調査の成果報告等の執筆を行った。しかしながら,介入研究に至るまでにコロナウイルス感染症の蔓延により,研究方法全般に変更が必要となった。そこで臨床現場や妊婦等からの情報収集を行い研究継続の方策を模索したが,介入実験の実施には至らなかった。
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