研究課題/領域番号 |
17K12346
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
白坂 真紀 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40378443)
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研究分担者 |
桑田 弘美 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70324316)
底田 辰之 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10464182)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 在宅医療 / 医療的ケア / 成人移行 / 青年期 / 自立 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、在宅医療(医療的ケア)を受ける子どもたちが、どのように成人期に移行(自立)していくのか、その現状と課題を明らかにすることである。幼少期より在宅医療(医療的ケア)を続けながら社会生活を営む成人を対象に、現在とこれまでの生活についてインタビュー調査を行った。 また、家族や医療的ケア児に関わる医療・福祉・教育・行政の関係者より調査協力を得た。 本年度は、20歳代の成人4名(男性3名・女性1名)の経験を分析した。対象は神経・筋疾患により人工呼吸器などを使用していた。日常生活の自立度は、自分で身の回りのことを行う方から全介助が必要な方まで様々であった。一人暮らしや家族と同居して生活し、3名は訪問介護員を利用していた。幼少期より保育園や幼稚園に通い、大学や特別支援学校、短期大学を卒業していた。職場は事業所や自営業の手伝いなどであった。 逐語録データを質的記述的に分析した結果、9つのカテゴリーを抽出した。彼らは生活を送る上で「周囲の理解が得られずに苦しむ」場面が生じるが、「経験や努力を積み重ね進路を辿(る)」り、「課題を乗り越え達成感を(味わう)」得ていた。「充実した学生生活を送る」過程において、周囲の人との「コミュニケーション力や交渉力を身につけ(る)」ていた。普段から「趣味や特技に夢中になる」時間を楽しみ、「より豊かな生活環境を望む」など意欲に溢れていた。日常生活には介助が必要なことも多いため、「家族やヘルパーと一定の関係を保(つ)」ちながら生活していた。一方、「変化する体調を把握し自分で管理する」という面では、自己流に管理していることも一部あり、健康面への看護課題が示された。医療的ケアを受ける子どもたちは、その将来を見据えて、幼少期より周りの子どもたちと共にあらゆることに取り組める地域社会の環境が重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象者のリクルートに時間がかかり、データ収集後の分析にも遅れが生じているため。
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今後の研究の推進方策 |
在宅医療(医療的ケア)を受ける子どもの幼少期から成人期に関わっている、医療・福祉・教育・行政関係者のインタビューデータを分析し、まとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、通常業務や研究遂行のために予定していたエフォートに変更が生じたため、次年度使用額が発生した。次年度は最終年度となるため、主にデータ分析や資料整理のための人件費に使用する予定である。
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