研究課題/領域番号 |
17K12351
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
大嶺 ふじ子 琉球大学, 医学部, 教授 (40295308)
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研究分担者 |
豊里 竹彦 琉球大学, 医学部, 教授 (40452958)
玉城 陽子 琉球大学, 医学部, 助教 (70347144)
遠藤 由美子 琉球大学, 医学部, 准教授 (90282201)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 妊娠期助産ケア / 出産体験 / 出産前後のうつ状態 / 唾液アミラーゼ測定 |
研究実績の概要 |
妊娠期におけるセルフケア・アセメントツールとしての尺度開発を目的として計画した、助産師・母親への半構造的面接調査に関しては、琉球大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会の承認が得られた。しかし、尺度評価の一環として、出産後の母児に対する唾液ストレスマーカー測定の必要性に対して、6回の修正を経て母親のみの唾液アミラーゼ測定で本倫理審査委員会の承認が得られた。そのため、望ましい出産準備状態への移行に効果的なセルフケア内容を助産師および出産後の女性の語りから質的に抽出する調査研究の開始が予定より大幅に遅れ、サンプルサイズの半分各5名づつ計10名の半構造化面接調査を実施できた。その逐語録の語りからBerelson.B.らの内容分析による質的分析を実施中である。 具体的内容としては、1)研究計画に対する、本倫理審査委員会の審査内容に基づいた、研究計画の修正・再構築を行った。2)調査対象施設責任者に対して、調査協力の許諾を得るための研究計画の説明を再度実施した。3)調査対象である開業助産師や施設勤務助産師に対する、半構造的面接調査の説明会を実施した。4)国内外の文献検索によりアセスメントツール内容の再検討を行った。5)出産準備状態と出産後のストレスマーカーとしての母児の唾液コルチゾール等の唾液採取の予定だったが、出産直後の唾液採取において、特に新生児の負担、保存や測定方法等にも多額の費用がかかる点において、本倫理審査委員会から承認が得られず、母親のみで負担の少ない唾液アミラーゼによるストレスマーカー測定に変更することで研究の承認が得られた。6)助産師が実施する妊娠期の助産ケアに関する聞き取り調査を助産師5名、母親5名に対して半構造的面接を実施し、その逐語録の語りから、Berelson.B.らの内容分析による質的分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
良好な出産準備状態を評価する手段の一つとしてセルフケア・アセスメントツールの開発を考えている。そのツールの評価方法の一環として出産後ストレスマーカー、つまり母児の唾液コルチゾール値測定の実施を計画していたが、琉球大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会より、新生児の唾液採取上の必要性・問題点を指摘され研究計画の大幅な修正を余儀なくされた。6回の修正案を提出後、より簡便な唾液アミラーゼ測定による母親のみの測定へ変更した。その影響もあり、研究計画の修正に時間がかかり、当初予定より聴き取り調査開始が遅れた。また、研究者自身と同居している父母の闘病・在宅看護・看取り(父2018.8月、母2018.12月死去)が重なり、研究遂行に大幅に遅延が生じた。2018年度末3月までに確保した対象数は助産師5名、母親各5名のサンプルサイズであるが、2019年度初めには各10名の対象を確保し、その逐語録の語りから、Berelson.B.らの内容分析による質的分析を進め、アセスメントツール案を作成に向けて研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠期のセルフケアアセスメントツールの信頼性・妥当性の検証を対象妊産褥婦50症例に対して、インフォームドコンセントを適切に行いながら、唾液ストレスマーカーや他の心理尺度によって縦断的調査を実施する予定である。その結果から妊娠期のセルフケアアセスメントツールの信頼性・妥当性の検証を行う予定である。そのためには、同意を得られた妊産褥婦の出産前後における調査研究実施のために、各施設勤務臨床助産師の協力が不可欠なので、人件費を投入しながら研究対象者数を増やす努力を行い、研究者の時間を確保する。また、検証のための姙産褥婦50人の十分なサンプルサイズ確保のためには、2020年度までの研究計画延長が必要と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度研究計画では、質的研究分析後にアセスメントツール試案が出来上がっているはずであった。しかし、本研究に対する倫理審査委員会承認が、部分的に理解が得られず予想外に時間を要して承認に至った。半構造的インタビューおよびストレス測定の対象者としての助産師5名、出産後6ヶ月以内の女性5名の確保、聞き取り調査、逐語録作成質的分析が現在に至って進行中である。2019年度末までには、アセスメントツールの検証に予定されているサンプルサイズ50例の妊産婦に対する縦断的聞き取り調査にかかる人件費、ツールの検証作業にかかる物品費(研究にかかるソフトウェアなど)、海外学会発表にかかる費用等が2019年度以降に生じる予定である。そのため、次年度以降の研究費として残す必要があった。
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