調査票の作成にあたり、概念枠組みを検討している。2017年に開催されたICMにおいて、自宅出産を含め、出産場所についての演題から欧米の助産師の活動について情報収集を行った。オランダ、イギリスでは自宅出産について理論的な基盤をもとにケアが展開されることが報告されていた。バースセンターと自宅での出産は明確に区別されて発表されていた。自宅出産の割合が多い国と少ない国の助産師の間でも出産に対する認識が異なっており議論となっていた。 ICMで発表された演題の論文を抄読するとともに、当該国の周産期のサービスの仕組みについて情報収集を行った。特に、カナダのBirth Place Study については質的にも量的にも調査が行われ、周産期に関わる医療者の認識の違いが明らかになっていた。また、カナダの助産師と米国の助産師(Nurse-Midwife)との自宅出産に対する態度が異なっていることも明らかになった。 一方で、助産師主導のケアと医師主導のケアによる比較もある。自宅出産は助産師主導のケアに含まれる。自宅出産は、主に助産師によって実施されているが、「出産場所」という観点から、産科医立ち合いのもと自宅で出産するものも理論的には含まれる。 本研究では、「助産師主導のケア」かつ「病院、診療所、助産所以外の出産」を「自宅出産」と定義し、専門家の立ち合いのないものは除くこととする。調査票の項目立ては、カナダの調査に準じて、教育、実践、個人的な経験と自宅出産に対する認識(態度)についてを予定しているが、日本に特徴的な項目の追加を検討している。
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