母子のケアの連続性をめざした周産期母子医療センターと助産所の連携を図るための基礎研究として、自宅出産に対するケア提供者の態度を測定する尺度の日本語版を開発した。原版は、Vedamら(2014)が開発し、助産師の教育背景や助産師と医師との職種間の態度の差異を明らかにし、医療制度の異なる国でも使用できる国際版が開発された。本研究では、9項目のProvider Attitudes Toward Planned Home Birth-International: PAPHB-i)の日本語版を作成した。原版を翻訳し、日本語を整え、逆翻訳し、6名のバイリンガルの看護職が原版と日本語版を比較し、妥当性を確認した。さらに、日本語版の妥当性を検証するために、助産師10名に対して、9項目の質問と回答についてインタビューを実施した。 インタビュー調査の研究参加者である10名の助産師は20歳代から60歳代、病院・診療所・助産所等、勤務経歴や現在の勤務先が多様になるように選定した。PAPHB-iの最初の質問は「自宅出産は、母と子のきずなにとって理想的な出産環境である」であったが、ほとんどの研究参加者が「理想的な出産場所は、自宅に限らず安全で安心でき、産婦の生活の流れが妨げられない場所が望ましい」と語った。最も意見が多かった質問は「私は自宅出産のアドボケイド(擁護者)である」であった。研究参加者は「アドボケイド」の意味を調べ、自分の態度に合致するのかインタビュアーに尋ねた。また、日本では医療介入のない出産である自宅出産が、医療保険の対象とならないため、「自宅出産が増えればかなりの医療費が削減されるだろう」という質問に対する回答に戸惑ったと語る参加者が複数いた。 アドボケイドという用語へのなじみのなさと自宅出産と医療費との関係についての2項目以外は回答しやすい項目であることが明らかになった。
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