研究課題/領域番号 |
17K12364
|
研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
田中 和子 山口県立大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10637135)
|
研究分担者 |
吉村 耕一 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00322248)
浦山 晶美 山口県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20143927) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | インドネシア / 質的研究 / 周産期ケア / 女性中心のケア |
研究実績の概要 |
開発途上国における周産期医療・周産期ケア改善は、国連やWHOが指摘する深刻な課題である。本研究の目的は、開発途上国の出産に対する安全度・満足度が低い現状とその主な要因を、インドネシアバリ島の在留邦人女性、現地女性への聞き取り調査から明らかにすることである。また、現地助産師の意識・行動の現状を、現地助産師への聞き取り調査から明らかにすることである。本研究では開発途上国の現地女性だけでなく在留邦人女性を対象とする。邦人女性は先進国と開発途上国を比較できるため、現地女性と異なる視点から現地周産期ケアの抽出が期待できる。現地における周産期ケアの現状と問題点を明らかにするため、平成29年度に、インドネシア、バリ州の在留邦人女性並びに現地女性を対象として周産期ケアの満足度について調査を実施した。平成30年度は、インドネシア、バリ州において助産師に対する意識・行動調査を実施した。具体的には、インドネシア人共同研究者が都市部と農村部の保健センター数か所に調査依頼をし、施設長の許可を得て、それぞれの施設に勤務する助産師を対象としてインタビュー調査を実施した。令和元年度には、これまでに実施したインドネシア、バリ州の在留邦人女性へのインタビュー調査結果について論文作成を終了し、英文誌に投稿した。令和2年度にPregnancy and childbirthに採択された。インドネシア、バリ州における現地女性現地への調査については、追加調査の結果を含め、質的分析をほぼ終了している。令和3年度は、日本およびインドネシアの新型コロナウイルス感染症の拡大状況をみながら渡航計画を立て、令和2年度に実施予定であった現地助産師の調査結果の分析及び、現地の識者とのミーティング開催し、全調査結果を踏まえた妊産婦主体の周産期ケア導入のためのフレームワーク作成を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
開始年度の平成29年度からこれまでインドネシアの火山噴火や津波などの自然災害、現地の治安の悪化、新型コロナウィルス感染症パンデミックのため、予定していた渡航を複数回延期したため全体として進捗が遅れている。令和2年度も新型コロナウィルスの感染症の拡大が続いており、インドネシアへの渡航ができなかった。さらに現地の研究者が所属する大学の研究者も在宅勤務が継続しており、論文作成にかかわる日本とインドネシアの研究者による詳細なデータ分析や話し合いの機会を持つことが困難であったため、インドネシア、バリ州の助産師に対する意識・行動調査の論文作成が遅れている。また、現地の識者とのミーティング開催も実現できなかった。そのため全調査結果をふまえて新たな周産期ケア改善ためのフレームワークを作成するという計画が実施できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
現在も新型コロナウィルス感染症のパンデミックは続いているため、令和3年度もインドネシアへの渡航が困難であることが予想される。令和3年度は、現地研究者と遠隔でコミュニケーションをとりながら、まずインドネシア、バリ州の助産師へのインタビュー調査の論文作成を最優先して行う。全ての調査結果から、在留邦人女性および現地女性たちからみたインドネシアの周産期ケアの現状と、助産師の意識・行動の現状についてまとめ、女性及びケア提供者である助産師の双方の視点から現地周産期ケアの課題を明らかにする。さらにインドネシア、ウダヤナ大学の共同研究者、現地識者との意見交換・助言から、本研究課題の最終的な目標である妊産婦主体の周産期ケアを現地に導入するためのフレームワークを作成を目指す。現地識者との遠隔でのミーティングが困難な場合は、これまでの研究成果からフレームワーク構築を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の拡大により、令和2年度も予定していたインドネシアへの渡航ができず、バリ州、助産師へのインタビュー調査結果の分析ができなかった。加えて、現地研究者および有識者とのミーティングを行うことができず、これに係る旅費を使用しなかった。次年度、インドネシアへの渡航が可能な状態になり次第、進捗が遅れているインドネシア、バリ州の助産師へのインタビュー調査結果を分析するための旅費や人件費を使用する。さらにインドネシア、ウダヤナ大学の共同研究者、現地有識者との意見交換・助言から、本研究課題の最終的な目標である妊産婦主体の周産期ケアを現地に導入するためのフレームワーク作成を目指す。これに係る旅費、人件費、謝金を使用する予定である。新型コロナ感染症拡大の持続により渡航ができない場合は、セキュリティ対策を講じた遠隔での共同作業のための環境を整える費用に充て、妊産婦主体の周産期ケアを現地に導入するためのフレームワーク作成を目指す
|