研究課題/領域番号 |
17K12365
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
舟越 和代 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (40321252)
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研究分担者 |
三浦 浩美 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (10342346)
松本 裕子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (20633639)
祖父江 育子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (80171396)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 重度障害児 / レスパイトケア / 自立支援プログラム / 母親のニーズ |
研究実績の概要 |
現在の障害児の地域生活支援は、親の高齢化や死亡を想定した支援や、障害児の将来の自立を視野に入れた支援施策にはなっていない。本研究は、レスパイトケアが障害児のケア調整能力と社会性の獲得に寄与できることに着目し、レスパイトケアにおける重度障害児の自立支援教育プログラムの作成を目指している。平成29年度は、教育プログラム作成の資料を得る目的で、自立している、もしくは自立を目指している重度障害児を育てている母親に、母親が望むレスパイトケアにおける教育的支援についてインタビュー調査を実施した。 調査は、障害児が利用している支援施設、団体等に、対象者紹介の協力を依頼し、重度の身体障害があり生活面で全介助が必要な子ども(以下子ども)を育てている母親の紹介を得て実施している。現在のところ、母親3名のインタビューが終了している。3名の母親は、日中一時支援や、移動支援を使っていた。母親にとって、レスパイトケアは母子分離ができる唯一の機会であった。また、母親は、子どもがレスパイトケアの場で、「親がいないところで同年齢の友達同士で話が出来る体験を望んでいる」と語った。また、子どもが「自分より小さい子が不安そうにしていたら、声をかけたり、側に寄り添ってあげたりと、何かできることを楽しんでいるようだ」とも語り、レスパイトケアを、年下の子どもへの配慮ができるようになる機会になると捉えていた。将来、子ども自身が親から独立して生活することも考え出していることに気付いた母親は、「親がいなくっても自分のことちゃんと伝えなきゃと話している」と語り、レスパイトケアの場で、自分の言葉で意思表示することを期待していた。 レスパイトケアでの教育的配慮としては、障害児が周囲の人との交流を深められるよう、また、障害児が意思を自分で伝えることが出来るようなコミュニケーション能力の獲得支援が期待されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は、「重度障害児の自立に向けて親が期待するレスパイトケアでの教育的支援」に関する調査を開始した。障害児が利用している支援施設、団体等に、対象者紹介の協力を依頼し、重度の身体障害があり生活面で全介助が必要な子どもを育てている母親の紹介を得て実施している。全国組織を持つ団体にも依頼しているが、対象者の紹介に時間を要し、現在のところ母親3名のインタビューを終え、一部を分析したところである。母親は、子どもがレスパイトケアで修得すべきコミュニケーション能力の獲得を期待し、親ができることを実施していた。障害児が周囲の人との交流を深められるようにすること、さらに、障害児が自分の意志を自分で伝えられるコミュニケーション能力の獲得することを目指して、具体的な教育的支援をプログラムに入れていく必要がある。今後、教育的支援内容を充実させるために、母親対象の調査を継続しながら、施設の支援員等対象の調査も実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
母親対象の「重度障害児の自立に向けて親が期待するレスパイトケアでの教育的支援」の調査については、引き続き調査・分析を進め、関連学会に結果を発表する。さらに、レスパイトケアを活用した障害児の生涯における自立支援プログラム作成の資料を得るために、レスパイトケア実施施設の支援員等、実践者対象の調査に取り組む。。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、「重度障害児の自立に向けて親が期待するレスパイトケアでの教育的支援」の調査を開始したが、対象者の紹介に時間を要した。次年度も引き続き調査を続けるための費用、国内外の学術集会でその成果を発表する費用を要する。また、レスパイトケア実践者の調査も同時に開始するための費用を要する。
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