研究課題/領域番号 |
17K12368
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
木浪 智佳子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (40347183)
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研究分担者 |
三國 久美 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (50265097)
近藤 尚也 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (80733576)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 重症心身障害児者 / 食事援助 / 相互作用 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
最終年度となる今年度は、平成29(2017)年度から令和元(2019)年度に実施した介入調査で実施した教育プログラムの普及を目的とし、食事の援助者に向けたリーフレットの作成を検討したが、業者側の納品時期の停滞により、補助事業期間内の完成には至らなかった。しかし、令和6(2024)年度内にはリーフレットの作成を完遂する予定である。 本研究は、重症心身障害児者(以下、重症児者)と援助者間に相互作用をもたらす食事援助プログラム(以下、教育プログラム)の開発を目的とし、重症児者施設2か所の看護師および福祉職20名を対象に、研究者が企画した教育プログラムの効果を検証した。主観的評価のアウトカムとして、相互作用を重視しているとみなした4つの食事の援助行為の変化を分析した結果、受講後に有意に得点が高かったのは「視線をつかむ」「話しかける」「触れる」であった。援助者はプログラム受講前に比べ、被援助者に援助者の存在を知らせ、食事に集中できるきっかけとなるような行為を意識的に起こしていた。また、客観的評価のアウトカムとして、食事場面における援助者と被援助者間の相互作用の質を測定するツールを用いて行動観察を分析した。その結果、援助者に関する「認知発達の促進」「子どもの不快な状態に対する反応」の項目において、受講後の得点が有意に高かった。これは、援助者が被援助者の反応を注意深く観察したうえで、タイミングを計り食事に集中できるような行動を起こしながら食事の援助を進めているという状況を示していた。本プログラムを受講した援助者の援助行為は、重症児者の反応に合せ、食事に集中できるような行為を取り入れた援助に変化していたことから、実践の場での効果が検証された。更なる本プログラムの普及により、重症児者が食事を美味しく、楽しく、安心して食べられるような食事の援助行為の定着の実現が示唆された。
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