研究課題/領域番号 |
17K12372
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
井出 由美 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (80644591)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | NICU看護 / 現任教育 / 継続教育 / NICU / 新人看護師 / 新人看護職員研修 |
研究実績の概要 |
初年度はプログラム開発に向け、文献検討による理論基盤の整理と、プログラム開発の基礎となるインタビュー調査を行った。 本研究の目的はNICUの新卒看護師(新人看護師)への教育支援プログラムの開発であり、先行研究の文献検討で、Transition理論に着目した。Transition理論は、Meleisらが構築し、看護教育や先行研究で用いられている。Transitionの定義は、「比較的安定したひとつの状態から別の比較的安定した状態への道筋であり、変化が引き金となる過程(Meleis,2010)」である。新卒看護師は、「『看護学生』から『看護師』へ」というTransitionを体験し、看護学生から看護師への道筋は、NICUへの配属という状況の変化が引き金となる過程である。Transition理論は、基礎教育で準備性が極めて乏しいNICUでの「『看護学生』から『看護師』へ」がどのようなTransition体験か理解し、健全なTransitionを導く効果的な支援を検討する理論的枠組みとして有効である。 インタビュー調査の目的は、新人看護師とその支援者(プリセプター・責任者)の立場の体験を基に、新人看護師のTransition体験を明らかにすることであった。新人看護師、プリセプター、責任者を対象に、グループインタビューで、以下の2点を調査した。①NICUの新人看護師はどのようなTransition体験をしているか、NICUの特殊性とそれに伴う困難、求める支援内容、②NICUの支援者はそのTransition体験にどのように関与しているか、Transitionを支援する立場の課題、求める支援内容。規模の異なる4施設に協力を依頼し、新人看護師11名、プリセプター7名、責任者5名、合計23名から協力を得た。現在、結果を分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度は、インタビュー調査と質問紙調査の実施を計画していたが、調査に用いる質問紙の作成に時間を要している状況である。また、質問紙調査の結果をより効果的に今後のプログラム開発および評価に反映させるために、適切な調査時期を検討し、調整している。質問紙の作成を含め、研究倫理審査に向けた準備を進めており、実施の目処は立っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、教育支援プログラムの開発に向けて全国の周産期センターを対象とした質問紙調査を行う計画である。質問紙調査の目的は、①NICUの新人看護師に対する現任教育の実態を調査し、現状と課題を明確にする、②NICUの新人看護師が1年で獲得すべき看護実践能力の到達目標を明確にして合意形成を図り、評価指標を作成するである。 インタビュー調査および質問紙調査の結果に基づいて、教育支援プログラムの原案を作成し、パイロットプログラムとして実施、評価を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度に実施予定であった質問紙調査が、質問紙の作成および実施方法について熟慮した結果、準備に時間を要した。また、調査結果を今後の研究に効果的に反映させるために調査時期を変更したため、30年度の実施となった。30年度質問紙調査の実施と分析を行うために、質問紙の印刷・郵送費用、パソコン、統計ソフトの予算を計上している。また、プログラム原案の作成、実施、評価を行うために、シミュレーターや謝金などの予算を計上している。
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