研究課題/領域番号 |
17K12372
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
井出 由美 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (80644591)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | NICU看護師 / Transition / 新人看護師 / 現任教育 / 実装研究 / Implementation Research / 教育プログラム / 新人看護職員研修ガイドライン |
研究実績の概要 |
2019年度は、作成したプログラム原案を用いた実装研究を行った。プログラムは、「NICUの新人看護師(新人)へのTransition支援プログラム(TSP-NICU)」とし1施設を対象とした。目的は、対象施設の新人が、新生児医療に必要な基本的な知識・技術・態度を獲得し、臨床へスムーズに移行するためのTSP-NICUを実装し、臨床実践能力の向上と健全な役割移行、臨床での実用化の可能性を明らかにするとした。 研究方法は、Transition理論を枠組みとし、実装チーム(管理者・リソースナース・研究者)が、新人のTransitionの第一段階である入職後4ヶ月に、TSP-NICU(90分/回×17セッション)の実装と、それに連動したOJT(On the Job Training)を提供するQI(Quality Improvement)サイクルで介入した。周期的データをフィードバックし、TSP-NICUとOJTとの連動を強化し教育体制を改善した。評価方法は、実装アウトカム(開催及び参加状況、学習内容の活用率、学習時期の適切性、プログラム評価・満足度、指導者の負担感等)と、臨床・組織的アウトカム(新人の不安、看護実践能力、役割意識)を測定した。 新人8名、現場の指導者43名が参加した。看護師の勤務に支障なく実施でき、実施率・完遂率は100%であった。プログラム評価の全体の満足度は高いが、薬剤・輸液と経管栄養で目標達成及び時間設定に課題があった。学習内容は、全項目で70%以上の指導者の支持を得た。学習時期の評価は、新人と指導者でばらつく結果であった。負担感は一部軽減したが、病棟の繁忙が影響した。不安はそれぞれの新人が特異的に経過し、内容は、自己の能力不足、患者・家族の状況、業務やOJTの進捗、先輩とのコミュニケーションであった。知識、態度及び役割意識の得点は、有意に上昇した(p<.01)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1施設を対象とした実装研究においては、プログラムの一部に課題があるもの、高い実行性が得られ、新人看護師および組織へのポジティブな影響を及ぼすことができた。当初、予定していた複数施設を対象としたTSP-NICUの実施は、TSP-NICUが広く活用され、普及するために必要な方策であるが、1施設と複数施設を対象としたプログラムの実装方略は大きく異なると考えられ、さらなる調査を含めた研究が必要であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
関連学会でのテーマセッションおよび調査を計画し、TSP-NICUのさらなる普及を目指して、1施設を対象にした実装研究の結果を示しながら、他の施設で採用される際に障壁となる事柄や障壁を乗り越えるための方策について調査し、複数施設での実施に向けた実装方略を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
プログラムの実施に際し、資料の印刷、物品の準備、データ入力を外部委託せずに、研究者自身で行ったため、予算よりも少ない支出となった。次年度、シミュレーターの購入や資料の印刷製本等の予算を計上する。
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