最終年度では、これまでの研究のプロセスおよび成果を公表し、専門家に周知するために第30回日本新生児看護学会学術集会において、テーマセッションを企画、開催した。研究者より、成果物である「NICUの新人看護師のためのTransition支援プログラム(以後TSP-NICU)」の開発プロセスや目的、具体的なカリキュラム(90分×17コマ)、ツールパッケージ(講義資料、受講者テキスト、評価ツール)等を紹介した。また、今後のTSP-NICUの普及に向けて、研究協力者より、所属施設においてTSP-NICUを導入する際の障壁および障壁を乗り越えるための方策(案)に関する話題提供を得た。これらを基に、参加者との意見交換を行い、TSP-NICUの臨床的なニーズを確認できたものの、普及に向けては施設の状況が大きく異なるため、さまざまな障壁が存在することも理解された。TSP-NICUの普及に向けて、それぞれの施設の背景に配慮した実装戦略および施設内でチェンジエージェントとして役割を発揮する人材の育成が必要であり、次なる研究課題である。 さらに、研究協力者の所属施設において、オンラインを用いてTSP-NICUの実装を試みた。コロナ禍においてもNICUの新人看護師への教育の機会を保障するために、オンラインの活用の可能性を見い出すことができた。
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