2021年度は最終年度として、これまでに検討した状況的組織デザインモデルについて議論を深めて洗練させ、これまでの研究成果を公表することを計画した。 現在の日本では小児病棟や小児科外来等の閉鎖や縮小により、成人病棟や一般外来でも子どもとその家族への対応に迫られている。それにより、慣れない子どもの看護と家族への対応に苦慮する現場の問題が表面化し、現場の課題となっている。しかし、その課題状況に対する組織的な支援のあり方やフォローアップ体制は、十分に確立されていない。そこで本研究課題では小児看護の技能全体を向上させる状況的組織デザインモデルの開発をめざして取り組んできた。中でも、成人看護で学んだ看護師の技能を小児看護という異なる状況でより発揮するための支援モデルを検討してきた。今年度は本研究課題の最終年度として、支援モデルを現場実装に向けて洗練させ、提案することを目指した。 具体的な活動としては、オンライン開催された関連学会でのテーマセッションにシンポジストとして参加し、基礎教育の視点から小児看護の専門性と教育的課題について話題提供を行うとともに、小児看護における技能習得を支える学習環境について問題提起した。それにより、小児看護特有の技能習得に関する活発な意見交換をすることができた。また、議論を通して、小児看護への技能転移と転移を支える状況的組織デザインモデルについて、さらに洗練させることが可能となった。それらの過程を経て、得られた成果をまとめた。研究成果は学術集会へエントリーし、また、学術誌へ投稿した。以上のように、最終年度として研究は概ね計画通り順調に遂行することができた。
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