研究課題/領域番号 |
17K12376
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研究機関 | 横浜創英大学 |
研究代表者 |
山下 麻実 横浜創英大学, 看護学部, 講師 (40515863)
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研究分担者 |
石舘 美弥子 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (50534070)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 保育の安全 / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
背景・目的:わが国の保育施設をめぐる問題として、保育士不足および待機児童の速やかな解消、量的拡充が主眼とされている。しかしながら、これは設置基準を緩和して一人でも多くこどもを受け入れ、安全の確保といった保育における「質」の低下が懸念される。初年度は保育者と医療者が連携した安全プログラムの構築に向けた資料を得ることを目的に保育施設における医療者の配置状況の調査を行った。 調査方法:関東地方A市にある保育施設1182施設を対象に、保育施設における医療者の配置に関する調査用紙を施設長宛に郵送した。分析方法はHALBAU.Ver7.5を用いて、保育施設における医療者の配置、職種、人数を単純集計で分析した。また、Kruskal-Wallis検定にて、医療者の配置を認可保育所、認証保育所、認可外保育所、幼稚園の保育施設の種別における比較をした。 倫理的配慮:A大学の研究倫理審査委員会の了承を得て実施した。 結果:調査用紙の回答があった施設は421施設であり、回収率は35.6%であった。回答があった施設のうち医療者を配置している施設は、134施設であり、実施していない施設は287施設であった。また、保育施設に配置している医療職者の種別では、保育施設に配置している医療者の90%以上が看護職者であり、1名のみでの配置であった。保育施設別の配置では、認可保育所での医療者の配置率が、認証保育所、認可外保育所、幼稚園と比較し、有意に高いことが明らかになった。(p<0.001) 考察:本調査では日本の保育施設における医療者の配置が十分でなく、また保育施設における医療職者の配置の不均衡が明らかになった。厚生労働省によると、保育施設での死亡事故は毎年10件を超えている現状がある。保育者と医療者が連携し、こどもの安全を守り、保育の「質」の維持、向上にむけた取り組みが喫緊の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である29年度は、保育者と医療者が連携した安全プログラムの構築に向けた資料を得ることを目的に保育施設における医療者の配置状況の調査をおこなった。その結果により、保育が多発する中、保育施設に配置されている医療者の配置が十分でなく、日常的に保育者と医療者が協働しにくい現状が明らかになった。 29年度は研究計画通り実施することができたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の調査結果について学会などで成果発表を行っていく。 本調査により、日本の保育施設における医療者の配置が十分でなく、また保育施設における医療職者の配置の不均衡が明らかになった。保育施設における死亡事故が年間10件以上あることを鑑み、こどもの命を守るための医療者と保育者が連携できるプログラム構築に向けて調査を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は医療者と保育者が協働できるプログラム構築を図るために、シミュレーション教材の購入を検討している。
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